世界一周を通じて見えた日本のインバウンド観光の3つの課題
2024年6月4日から7月6日まで1ヶ月弾丸の世界一周の旅に行ってきました。1ヶ月と短い期間だったのですが、8カ国、17都市、22フライトと怒涛の旅でした。 私はMATCHAというインバウンド向けのメディアプラットフォームの事業を行っています。 インバウンド観光事業に関わる身として、日本の観光業界が成長するために重要な3つのポイントを考えてみました。世界各地を巡る中で、日本の観光業界が進むべき方向として浮かび上がったのは、「Diversity Friendly(多様性対応)」「Pricing(価格戦略)」「DX/AI(デジタルトランスフォーメーション/AI対応)」の3つです。 どれも日本の観光業界の未来を考える上で欠かせない要素ですので、具体例を交えながら紹介していきます。 1. Diversity Friendly:多様性対応の必要性 今回の旅では、訪れる先々で現地の人々にインタビューをし、「日本に行きたいか?」「日本に行かないのはなぜ?」と質問しました。特に印象的だったのが、インド人の起業家との対話です。彼は「日本は行きたいけれど、行くのには精神的な準備が必要だ」と答えました。「どういうことか?」と尋ねると、彼はこう続けました。「日本のレストランでは、ベジタリアンとノンベジタリアンの区別が明確でない。家族と一緒に行くのが怖いんです」と。 この言葉を聞き、私自身もはっとさせられました。日本では、ハラール食やベジタリアンメニューの対応が進んでいない場所がまだ多く、宗教や食の嗜好に対する理解が不足している場合が少なくありません。食事の対応が重要であることは頭で理解しつつ、目の前でこう言われるとズシンときました。日本が観光立国を目指す上で、文化的・宗教的な背景を持つ人々の多様なニーズに応えられるような準備が求められていると痛感しました。 具体的な取り組みとしては、観光地や飲食店でのメニューの多言語対応や、食事の分類(ベジタリアン、ノンベジタリアン、ハラールなど)の明確化が挙げられます。また食事以外でも、家族向けの情報の整備、バリアフリー情報の整備などもDiversity Friendlyに含まれるでしょう。日本が多様性を受け入れ、幅広い観光客に対して安全で快適な体験を提供できるようになります。