猛暑が来る前に始めておきたい、”暑熱順化トレーニング”とは?
過去最高の暑さを記録した昨年に引き続き、今年も間もなくやってくる猛暑のシーズン。もはや〝災害レベル〟ともいわれる暑さを前に準備すべきは、汗をしっかりかける体づくりです。ゆらぎやすい自律神経のバランスにも対処しつつ、元気に夏を乗り切るコツを身につけていきましょう。
大人の女性は、暑さに弱くなりやすい。
女性ホルモンの減少とともに自律神経のバランスが乱れがちな世代は、とりわけ夏の猛暑が体にこたえやすい。 「自律神経や寒暖差による不調で受診される患者さんの7~8割が女性。体温の調整機能が低下しているうえ、更年期のホットフラッシュなどによって熱がこもり、体が暑さにうまく対応しきれなくなるのです。自律神経の働きそのものが衰えているため、更年期を過ぎて不調が続く人も多く見られます」と話すのは、自律神経や気象による不調のケアに定評のある久手堅司さん。 さらに問題は、エアコンの利いた室内で体が逆に冷えてしまうこと。 「男性に比べて筋肉量が少なく末端が冷えやすい女性は、血流も低下しがち。体の外側は暑いのに内側は冷たい状態になり、自律神経による気温のセンサー機能も低下するため、体温調整に必要な汗をよりかきづらくなります」 ほかにも、女性を取り巻く環境には夏の不調を招く要因が。日本気象協会の泉澤里帆さんは「女性は高温多湿のキッチンに立つ機会が多く、高齢の方は特にトイレが近くなるのを避けて水分摂取を控える人も。昨年、熱中症の搬送者数が例年の10倍だった北国では、未だ自宅にエアコンがないという方も多いかもしれません」と問題点を指摘する。
夏バテをきっかけに、不調がドミノ倒しに。
「熱中症は高温多湿の環境に体が適応できず、体温が上昇して発生する症状の総称です。めまいやだるさ、筋肉の痛みなど症状の表れ方もさまざまなため“まさか自分が”と、発症に気づかないケースも」と泉澤さん。 共通するのは、暑さへの準備ができないうちの活動によって発症するということ。さらに久手堅さんは、「自律神経の乱れや基礎疾患などもともとの不調がベースにあると、コップから水が溢れ出るように不調が表れやすくなります。夏バテから始まって胃腸のトラブル、不眠や倦怠感、そして熱中症へと至るのが最悪のパターンです」と話す。 この熱中症のツラさは、なって始めて分かるもの。後遺症に悩む人も多い。 「とはいえ熱中症は、事前の対策で予防できます。気候は変わらずとも夏に耐えられる体づくりで暑さにうまく向き合えば、夏をもっと快適に、楽しく過ごせるようになりますよ」(泉澤さん)