アール・デコ「100周年」 ハイジュエリー界で再び注目、ダミアーニやショーメが新作
ハイジュエリーの今(2)
1920年代を中心として世界各国に波及した装飾様式、アール・デコ。現在もジュエリーや時計のデザインに多大な影響を及ぼし、そのスタイルは何度もリバイバルしている。 【写真はこちら】ダミアーニのジュエリー付き帽子、ショーメのブレスレットなど…全部チェック!
アール・デコの名の由来は1925年にパリで行われた国際博覧会、通称アール・デコ博。来年は開催からちょうど100年目だ。博覧会より以前のベル・エポックと呼ばれた時代は、女性たちは裾を引きずるドレスを着て家庭を守り、通りにはまだ馬車も走っていた。だが第1次世界大戦を経て、コルセットを外した女性たちは化粧をして働きに出るようになり、自動車や鉄道、タイタニック号のような大型船舶が発達し、遠い異国の文物や情報もどっと流入してきた。そして至った1925年のアール・デコ博。シンプルでスピーディー、現代の我々が享受しているモダンなライフスタイルは、この時代から幕を開けた。 19世紀的なものを引きずっていたベル・エポックから、20世紀的なアール・デコへと転換したのは1925年。新世紀に入ってから24年がかかった。もし現在がいまだに20世紀的なものを引きずっているのだとすれば、2025年を迎えようとする今、古きものをやっと脱ぎ捨てて、まさに21世紀的な全く新しいデザインが生まれようとしているのではないか。我々はスタイルの転換のただ中にいるのかもしれない。
■Lydia Courteille リディア・クーテル
東洋の龍やキメラはアール・デコ期のジュエリーデザインにおける重要なモチーフだった。ラベンダー色のヒスイを中国風に彫刻した「ドラゴン」ネックレス:WG、ジェイダイト、ブラウンダイヤモンド、ダイヤモンド、ルビー。
■DAMIANI ダミアーニ
ダミアーニとボルサリーノのパートナーシップ締結で生まれたジュエリー付き帽子。1920~30年代に大流行したクローシェ帽のスタイルを踏襲し、両脇にチェーンをあしらっている。「クロッシェ ニーナ」:WG、ダイヤモンド。
■CHAUMET ショーメ
「ショーメ アン センヌ」コレクションより、アール・デコ風の強い色彩をアクセントにした「スウィング」ブレスレット:WG、スリランカ産パープルサファイア(5.86カラット)、スリランカ産ピンクサファイア(3.40カラット)マダガスカル産ピンクサファイア(3.37カラット)、ダイヤモンド、オニキス。
■VACHERON CONSTANTIN ヴァシュロン・コンスタンタン
アール・デコの直線的な造形美にインスパイアされたデザイン。腕時計、ペンダントウオッチ、ソートワール(ロングペンダント)、ブレスレットの4通りの楽しみ方がある「グランド・レディ・キャラ」:クオーツ。WG、ダイヤモンド(計46カラット以上)、アコヤ真珠、オニキス。 [THE NIKKEI MAGAZINE 2024年11月4日号の記事を再構成]