トイレの「大」と「小」には大便と小便だけではない超重要な意味があった…多くの人が知らない"流し方の盲点"
■生理のときは要注意 しかし排泄行為は生理現象ですので、様々な状況が起こります。例えば、女性の場合、小中学生~50代ごろまで、生理(月経とも呼ぶ)が毎月のようにあります。その時に、陰部をきれいに保つために、数日間は大量の水やトイレットペーパーを使用してしまうことがあるでしょう。 こういう時は、「トイレットペーパーの長さが、228cm以上になる可能性が高まる」ので、「大洗浄」がふさわしいと言えます。無理して「小」を選んで流した場合、便器が詰まってしまい、次に洗浄をした際に汚れた水が溢れてトイレ室内を汚すことになりますし、詰まり除去業者に作業してもらわなくてはならず、他の人にも迷惑をかけてしまうからです。 ■間違いやすい流し方と水のトラブル ではどうして、大量のトイレットペーパーを、「小」で洗浄した場合、詰まりやすくなるのでしょうか? それは汚物やトイレットペーパーが、便器から流される途中(専門用語では「トラップ」や「排水管」「せき」と呼びます)、または公共下水道につながっている敷地内の排水管の途中で、汚物が堆積し、流れにくい状態になってしまうからです。水溶性ではない紙(例:ポケットティッシュや箱型ティッシュ)を使ってしまった場合も、同様のトラブルが起こりえます。 トイレの流れが悪い場合には、時間をかけて数回洗浄すれば流れる場合もありますが、トイレから早く出たいがために無理やり何度も流してしまうと、汚水が便器から漏れてしまう大惨事に陥ります。 詰まりを除去する方法は、ラバーカップ(ゴム製のおわん型の詰まり除去道具)を使ったり、詰まり除去の専門業者に来ていただくのが一般的です。ですが、そうなる前に「トイレットペーパーを投入し過ぎちゃったかな?」と思ったら、ケチケチせずに「大」を選んで洗浄すれば、大きな問題にはならずに済むでしょう。
■「eco小」とは何か なお、「eco小」とは、「男性のおしっこのみを流すケース」(紙を使わない)を想定して洗浄水を少なくしています。日本のトイレは、大切な水やエネルギーを、効果的かつ効率的に使用できるよう節約機能が豊富なので、とても高性能なのですが、こうした根拠や技術があることを知ると、さらに効率的に使えるでしょう。 ただしeco小は国内最大メーカーであるTOTOだけの限定的な機能です。他のメーカー製品にはありません。最近は洗浄技術が向上したために、eco小と小の差が無くなりつつあります。そこで新製品には「eco小」のボタンがないケースがあります。 ■節約のために大便を小で流すのはダメなのか? 地球環境を考え、「大の時でも小洗浄で流せば、水の節約になって良いのでは?」と思うことがあるでしょう。着眼点は悪くないのですが、忘れてはいけないのは、排泄物やトイレットペーパーが、便器の内部から排出し切って、建物の中や敷地内の排水管を通り抜け、公共下水道や浄化槽まで確実に到達するか? という点です。トイレの使用者は、つい「自分の目の前の便器から、汚物が消えればOK」と思いがちですが、それだけでは「終わった」といえません。 具体的に説明すると、汚物(=ウンチやトイレットペーパー)は、便器の内部のトラップ部分(古い便器なら、横から見ると分かるでしょうが、上り坂になっている部分やカーブしている部分)を通過したあと、排水管(床や壁に埋まって見えないケースが多い)に到達し、建物の中や敷地内を通過して、道路の下部に埋められている公共下水道に到達しなければなりません。公共下水道が完備されていない地域では、庭や駐車場に埋まっている「浄化槽」まで到達しなければなりません。 高層の建物ならば、高さがあるために公共下水道までの排水経路は長くなりますし、広い敷地の場合には、排水管がくねくねと建物の形にそって設置されているため、これもまた排水管が長距離化します。その中を汚物が流れるわけですから、それを手助けする洗浄水が少ないと、勢いが少なくなってしまい、汚物が途中で止まってしまうのです。 それが次から次へと連続した場合、「汚物の行列」ができてしまいます。そうなると洗浄水を流しても、水だけが通り過ぎてしまい、本格的に詰まってしまいます。もしも汚物が壁のように立ちはだかると、逆流することもありえます。 そうなると大がかりな対処が必要となるため、せっかく節水や節約をしても、逆に水を大量に流して回復させなくてはならず、余計な出費が増えてしまいます。これでは本末転倒です。詰まる物は汚物以外に、生理用ナプキンやペンなどもよくあります。便器内に汚物以外が落ちたら、早く便器の外に出しましょう。