上司の「イヤミ」がひどく、ちょっとしたミスで1時間は説教してきます。部長は「怒鳴っているわけでもないしパワハラにはならない」と言うのですが本当ですか? 毎日本当に憂鬱です…
パワハラ(パワーハラスメント)というと、大声で怒鳴ることをイメージする人が多いかもしれませんが、それにとどまるものではありません。嫌み・皮肉、長時間の叱責は、口調が丁寧であっても部下からすれば耐えられないと感じることもあるでしょう。 このような言動は、そもそも業務上必要なことでしょうか。厚生労働省のパワハラ指針の定義にのっとって、もう一度考え直してみましょう。明るい職場を作るためのヒントになれば幸いです。 ▼毎日「8時50分」から朝礼が! 定時は9時だけど「残業代」は請求できる?「義務」か判断するポイントとは?
パワハラの本来の定義を確認しよう
職場のパワハラについて、厚生労働省は次のように定義しています。 「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動で」 「業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより」 「労働者の就業環境が害されるもの」 以上の3つの要素を全て満たすものです。この定義に従って、代表的な6つの類型が示されていますが、これにとどまるものではありません。3つの定義についてさらに細かく見てみましょう。 ◆職場の優越的な関係を背景とした言動 職場の上司と部下の関係が典型的なものです。「行為者」(上司)に対し「言動を受ける側」(部下)は抵抗や拒絶が難しい、ということを背景に行われる言動です。 ◆業務上必要かつ相当な範囲を超えた 社会通念に照らし、明らかに業務上の必要性がない、またはその様子が相当でない言動をいいます。 ◆就業環境が害される その言動により、従業員が身体的・精神的に苦痛を与えられ、就業環境が不快になり能力の発揮に重大な悪影響が生じるといった支障が生じることです。
嫌み・皮肉まじりの長時間の叱責はパワハラそのもの
以上の3つの要素から、今回の事例について考えてみましょう。 「職場の優越的な関係を背景とした言動」 部下のミスに対する上司の注意です。部下としては断れません。要件に当てはまります。 「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」 ちょっとしたミスへの注意なら5分、10分で済むでしょう。1時間も説教する必要はないはずです。それも嫌みや皮肉まじりに行われたなら、その様子は相当でないでしょう。すなわち「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」と考えられます。 「就業環境が害される」 ちょっとしたミスで長時間説教されたら、部下は精神的に参ってしまいます。繰り返されるなら精神的な不調にも陥りかねません。明らかに就業環境が害されるのです。 以上から「ちょっとしたミスに対する嫌みや皮肉まじりの1時間の説教」は、まさにパワハラの定義にそっくり当てはまります。