上司の「イヤミ」がひどく、ちょっとしたミスで1時間は説教してきます。部長は「怒鳴っているわけでもないしパワハラにはならない」と言うのですが本当ですか? 毎日本当に憂鬱です…
「パワハラ」の語感にまどわされるな
「パワハラ」の語感から、「パワハラ=怒鳴りつける、叱りつける」とイメージしがちです。しかし、厚生労働省の定義の3要素を考えれば、パワハラはもっと広い範囲の言動を含むと理解できるでしょう。 逆に、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導は、パワハラに該当しません 。 例えば、建設現場や製造現場で部下が危険な行為をしそうな場合は、緊急に止めるため怒鳴ること、叱ることも必要でしょう。それ以外の職場でも、部下がお客にとんでもない失礼をしそうな場合、やめさせるために叱ることはあるでしょう。業務上必要な行為であれば、パワハラには該当しません。
パワハラは不祥事のきっかけにさえなりかねない
さらに、ちょっとしたミスで上司から嫌みや皮肉まじりに長時間説教されるならば、部下は、報告しないで黙っていよう、と考えるかもしれません。積み重なれば重大な事故につながりかねません。 例えば、ちょっとしたミスで客から文句をいわれても上司に報告しなければ、上司は客との間で問題が起こっているとは気がつかない。それが積み重なって、客の堪忍袋の緒が切れて会社に怒鳴り込んでくる、といったことが起こりえます。 また、部下がちょっとしたミスと思っていても、実は重大な「ヒヤリハット」事例であり、重大事故につながりかねないこともあります。
そもそも長時間の叱責は労働時間の無駄遣い
ミスへの注意なら5分、10分で済むはずです。1時間もかけるのは、貴重な労働時間の無駄遣いです。上司の指導力不足というしかありません。部下への指導とは名ばかりで、部下いじめをしているとさえ考えられます。職場として許すべきではないのです。
パワハラの本来の意味をよく理解して対応しよう
怒鳴るだけがパワハラではありません。むしろ嫌みや皮肉こそ相手の人格を傷つけるハラスメント行為といえます。 そのような上司がいるのなら、当該上司、さらに上級の管理者や職場の仲間と一緒に、どのような言動が職場環境を害するか、どのような注意の仕方が適切なのか、話し合ってみてください。厚生労働省のテキスト、参考資料、動画等もぜひ活用してください。 出典 厚生労働省 あかるい職場応援団 厚生労働省 職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました! 厚生労働省 労働施策総合推進法に基づく「パワーハラスメント防止措置」が中小企業の事業主にも義務化されます! 執筆者:玉上信明 社会保険労務士、健康経営エキスパートアドバイザー
ファイナンシャルフィールド編集部