友人が「結婚よりもパートナー主義」です。「メリットが大きいから」といいますが、社会保障的にはリスク大ですよね?
法律上の婚姻をせず、パートナーとして生活するケースが増えています。昨今は生活スタイルや価値観が多様化していますが、社会保険や税法でどのような影響があるのか知っておくことは有意義でしょう。 そこで本記事では、法律婚と事実婚の違いや、あえて法律婚をしないメリットなどを解説します。 ▼扶養内で働いてるけど、労働時間が「週20時間」を越えてしまった!「社会保険」に加入する必要はある?
事実婚(パートナー)は控除と税制では「不利」になる?
税金関係において、事実婚では不利を被る恐れがあります。例えば、所得税法上の控除対象配偶者がいる場合は「配偶者控除」を受けられますが、事実婚の場合は控除を受けられません。 つまり、納税者の税負担を軽減できず、法律婚の場合と比較すると手取り収入が減ってしまいます。配偶者控除は最大で38万円受けられるため、所得税率が20%であれば年間で7万6000円の差が生まれる計算です。 ほかにも、配偶者としての相続権や、相続税における配偶者の税額軽減も受けられません。自分が死亡してもパートナーに財産を渡せず(遺言書があれば渡すことが可能)、財産を渡しても相続税の負担が重くなるデメリットがあります。 また、子どもが誕生した場合は、子どもが「婚外子」の扱いになります。認知をしなければ父子関係が成立せず、婚外子のままでは相続権を有しません。このように、事実婚では法律婚の場合と比較して、税制や相続関係でさまざまな不都合が生じる恐れがあります。
お金だけじゃない! 結婚を選ばない高所得者の理由
婚姻届を提出して法律上の結婚(法律婚)が成立した場合には、主に以下の法的効果が生じます。 ・貞操義務 ・重婚禁止 ・共同親権 ・婚姻費用分担義務 事実婚の場合は、以上で挙げた法的効果は発生しません。あくまでも「同居しているだけ」で、お互い独身のような生活が可能です。自由度の高さに関しては、法律婚よりも事実婚のほうが高いといえるでしょう。 また、事実婚であれば夫婦それぞれが元の姓を保持でき、銀行口座やクレジットカードの名義変更手続きが不要です。戸籍への影響がなく、手続き関係の負担が軽いメリットもあります。 従来の結婚観にとらわれない柔軟な関係性を築きたいカップルにとって、事実婚は魅力的な選択肢といえるでしょう。なお、事実婚の場合は所得税の配偶者控除を受けられませんが、条件を満たせば健康保険の扶養に入り、国民年金の第3号被保険者になることは可能です。 お互いに働いており、それぞれで財産管理をしたい場合も事実婚が適しています。民法では、結婚中に夫婦が協力して築いた資産は「共同財産」となりますが、事実婚の場合は該当しません。 柔軟にお金の管理ができ、それぞれが経済的に自由に生活したいという価値観の人にとって、事実婚は適しているでしょう。
まとめ
事実婚ではパートナーが配偶者控除の対象とならなかったり、遺言書がないかぎり相続財産を渡せなかったり、さまざまな不都合が生じます。 しかし、従来の結婚観にとらわれない柔軟な関係性を築きたい場合や、それぞれ自由な生活を送りたいと考えている場合は事実婚が向いているといえるでしょう。事実婚にはメリットとデメリットがあるため、きちんと理解したうえで、自分の生活スタイルや価値観に合っている選択をしましょう。 出典 国税庁 No.1191 配偶者控除 内閣府 いわゆる事実婚に関する制度や運用等における取扱い 法務省 財産分与 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部