インバウンド客開拓のカギは「旅マエ」「旅ナカ」「旅アト」需要の取り込み。訪日観光客を越境ECを利用してもらうためのヒント
それでは、実際に越境ECを活用した「旅アト」の購入実態はどうでしょうか。「これまでに訪日時に購入した商品や発見した商品を、帰国後にECで購入したことはあるか」という質問に対しては、35.4%が「はい」と回答しました。
調査の実施時期・対象の違いはあると思いますが、既に越境ECサービスを利用したことがある「Buyee」ユーザーでも、「旅アト」の越境購入意向の高さと実際の購入経験に差が生まれている要因は何でしょうか。
上記の質問で「購入したことがない」と回答したユーザーに、越境ECで「旅アト」購入をしなかった理由を聞いたところ、商品自体の魅力やコストの課題もありますが、「その商品が越境ECで購入できるかわからなかった」(28.8%)「欲しい商品が越境ECに対応していなかった」(14.9%)と、リピート購入の意向はあっても、越境ECの対応環境が整備されていないことで、購入を諦めたユーザーがいることがわかります。
これは、海外ユーザー、日本企業の双方にとって残念な機会損失です。一方で、越境ECを導入し商品が購入できることをECサイトに訪れたユーザーに伝えることで、持続的な関係性作りにつなげられるでしょう。
「旅マエ」「旅ナカ」「旅アト」、それぞれで越境EC活用を
「Buyee」ユーザーへのアンケートを通して、「旅マエ」「旅ナカ」「旅アト」各場面でのECサイト、越境EC活用の可能性を探りました。 ボーダレスにアクセスできるオンライン空間では、ECサイト自体がSNSのようにブランドや商品の魅力を海外に伝え、訪日時の来店を促す場として機能することがあります。旅行中は長距離移動などで購入が制限される場面もありますが、「旅アト」購入を可能にすることで、訪日海外ユーザーに「諦める」意外の選択肢を提示することも可能です。 越境ECによる「旅アト」の商品購入実態は3割ほどですが、購入意欲は高く、日本企業側の環境整備によってそのニーズを取り込める可能性があります。 コロナ禍をきっかけに越境ECを導入する企業が増加したことで、訪日外客の消費は店頭とオンラインに広がりました。訪日外客を一時的なインバウンド消費ではなく、ブランドのファンである海外の「お客さま」として持続的な関係性を築ける環境が整備されつつあると言えるのです。 ● ● アンケート概要 ・ 調査タイトル:「海外旅行および訪日旅行における消費行動と越境EC」に関するアンケート調査 ・ 調査対象:海外向け購入サポートサービス「Buyee」のユーザー(アメリカ、台湾、韓国、マレーシア、イギリス) ・ 調査人数:749人 ・ 調査期間:2023年7月~8月 ・ 調査方法:オンラインアンケート ・ 調査主体:BEENOSグループ ・ 調査タイトル:海外のお客さま約1900名に聞いた越境ECの利用意向調査 ・ 調査対象:海外向け購入サポートサービス「Buyee」「Buyee Connect」利用ユーザー(アメリカ、台湾、マレーシア、イギリス) ・ 調査人数:1894人 ・ 調査期間:2022年7月22日~28日 ・ 調査方法:オンラインアンケート ・ 調査主体:BEENOSグループ