インバウンド客開拓のカギは「旅マエ」「旅ナカ」「旅アト」需要の取り込み。訪日観光客を越境ECを利用してもらうためのヒント
調査時期と対象国は異なりますが、下の表は「日本の製品を購入する際に参考にしている情報がある場合は、何を参考にしているか」という質問の結果をまとめたものです。アメリカ(29.9%)、台湾(19.0%)、イギリス(18.9%)はX(旧Twitter)、マレーシア(35.4%)はFacebookが最も多い結果となり、海外消費者がSNSを活用して日本の情報を得ていることがわかります。
越境ECの認知獲得手段としてまず候補にあがるのがSNSの活用です。SNSを通じて認知を獲得し、越境対応しているECサイトに流入させるのは理想的な導線の1つですが、実はECサイト自体も「旅マエ」の認知獲得に寄与しています。 ECサイトのメディア化が進み、単に商品を購入する利便性だけではなく、商品を使用するライフスタイルの提案や、ブランドの世界観を表現することを重視するECサイトも増加していることから、ECサイト自体が実店舗への訪問を促す役割を持つようになったと考えられます。
「旅ナカ」での課題は「価格以外の理由で購入を断念」
「海外旅行中の買い物で困ったこと」を聞いたところ、「商品自体の大きさ・重さ」に起因する回答が大半を占めました。
これまでは商品の購入を諦めるしかなかったかもしれませんが、越境ECを活用することで帰国後の購入を叶えることもできます。また、海外からのユーザーに対して複数の選択肢を提供できることは、店頭での体験価値向上にもつながります。
「旅アト」のリピート購入意向は92%以上、実際の購入経験は35.4%
下のグラフは、コロナ禍中に実施したアンケートで「訪日後に越境ECを活用して気に入った商品のリピート購入をしたいか」という質問に対する回答です。対象国すべてで8割以上が「越境ECを活用したリピート購入をしたい」と回答しています。
訪日できない時期に行ったアンケートのため、より積極的な回答が集まったという傾向はありますが、「良い商品・気に入った商品であれば繰り返し購入したい」という意志があることは確実でしょう。