福大若葉・杉山公一監督の語った「ひと刺しの勝負勘」
7月28日、令和6年度全国高校サッカーインターハイ(総体)の2回戦が福島県内の各会場で行われ、阪南大高(大阪2)と福大若葉(福岡)が対戦。試合はPK戦を制した福岡大若葉が阪南大高を下し3回戦進出を決めた。 【フォトギャラリー】阪南大高vs福大若葉 あれだけ攻めていれば、勝ちは阪南大高に自然に転がってくると思われた。それだけ攻め続け、チャンスを作っていた。 しかし公式記録を見ると少々、印象は変わる。シュート数は阪南大高の6本に対し、福大若葉は前後半1本ずつ、合わせて2本。 長い時間、押し込まれていた割に打たれたシュート数が少ないのは福大若葉の守備のうまさとともに2本で1点という決定力の高さがうかがえる。これが福大若葉の特長。伊達に強豪ひしめく福岡を勝ち上がったわけではない。その秘訣のひとつを杉山公一監督は「ひと刺しの勝負勘。『ここが勝負どころだ』というメンタリティーです。東福岡、筑陽学園などでは攻めこまれる試合、主導権を握られる試合を経験しています」とこうした試合に慣れており、そして長けていた。 このことを裏付けるようにMF10森部絢は「試合前、たとえ先に失点しても気持ちをきらさず、守備から入って、1点を取りに行こうとしました。これまでいろいろな遠征するうえで強いチームと対戦しました。以前だったら、先制点を取られると気持ちが切れてしまい、追加点を取られることがありました。でも、リーグ戦を通して、修正できています」と守備だけでなく、メンタルも堅いようだ。 守りだけではない。「守備がしっかりしている分、攻撃のタイミングを自分たちで探っています。例えば、自分にボールが入ったとき、前線の2人の選手が裏のスペースに入ってくれます。あとはセットプレーを大事にしているので、セットプレーも強みです」と続けた。 杉山監督の言葉を借りるならば、攻守にわたる「ひと刺しの勝負勘」はいまのチームに根付いている。ただ、そこにはやはり堅守が大前提のようだ。 GK1森惺舞は「守備を堅くすること。そして守備から攻撃というプレーを意識しています。選手個々の質でどうにかするのではなく、みんなで守って、みんなでカウンターを仕掛けるサッカー」と自チームの特色を語った。加えて、この試合ではある程度、PK戦を想定した戦い方ができたのはPKが得意なGK1森の存在があったからこそ。 「うちには(森)惺舞というGKがいますから」と杉山監督から絶大な信頼を得ている。その森も「(PKを)止めているほうなので、(チームメイトが)信頼してくれていると思います」と自認しているようだ。 創部6年目で初めてのインターハイでの初勝利は福大若葉に大きな自信と手ごたえとなったはずだ。 (文・写真=佐藤亮太)