「高齢者泣かせだ」「よく長蛇の列ができてる」との声も…。セブン、苦戦報道で「不親切なレジ」への批判が沸騰する背景
なるほど、最初から最後まで自分でやるセルフレジより、半有人レジのほうが「途中までやってくれたのにあとは放置されている……」と感じる人が多いかもしれない。 実際、こうした意見が出てくると、働き方改革が進む昨今「コンビニで働く人にまで温かみを求めてもねえ……」と思うが(筆者はどちらかと言うとこちらの立場である)、とは言え、どこか心の底で「一抹の寂しさ」を覚えるのも人間の性かもしれない。 とくに、セブン-イレブンは日本ではじめての本格的なフランチャイズチェーンであり(単体の店舗としては、1969年に大阪府豊中市に開店した「マミー豊中店」と言われている)、その歴史も長い。これまでのセブンのやり方に愛着を持っている顧客もいることだろう。だからこそ、レジでの会計時に不満を覚えると、落胆も大きくなってしまう――そんな背景もあるかもしれない。
■ディストピア容器に「温かみ」を求める私たち セルフレジに対する「温かみがない」という批判を見ていると、思い出すことがある。 すき家で話題になった「ディストピア容器」の件だ。 これは、牛丼チェーン大手の「すき家」で行われている取り組みで、牛丼を提供する皿を店内飲食でもプラスチックや紙の容器で提供するものである。 こうした容器の返却口は「ゴミ箱」で、この事例に対してネット上ではこんな意見があった。 「店内でもすべてプラ容器の提供になっている店舗ははじめてでした。洗い物がなくなり合理的なのかもしれませんが、ひどい扱いだなと思いました。食事における器の重要さを否応なく意識させられます」
「餌を出された気分です。紙の食器で食べるご飯がちっとも美味しく感じられません。すき家、テーブルがある牛丼屋で素敵だと思っていたのに。もう使いません」 セルフレジと同様、「接客の温かみがない」と語る声が多く見られたのである。 ディストピア容器については、それが店側の業務を軽減し、ひいては「働き方改革」につながることから、非常に意義のある取り組みなのは間違いない。 しかし、日本に牛丼屋をはじめとするチェーンストア・ファーストフードが根付いてから50年ほどが経過し、そこは「ただモノを食べる空間」ではなく、「愛着を持った場所」になってきた。