Bチームから"スーパースター"ぞろいの主将に プレータイムは限られても「一瞬一瞬が特別でした。毎日感謝してました」
決勝はプレーヤーとしてコートに立てなくても
ハーパージャン ローレンスジュニア(4年、福岡第一)や西田陽成(4年、福岡大大濠)といった同期だけでなく、下級生にも轟琉維(2年、福岡第一)や赤間賢人(1年、藤枝明誠)、佐藤友(1年、東山)ら高校時代から全国の舞台で活躍してきたメンバーがそろう。ゆえに、大久保のプレータイムは限られる。日大との決勝では、プレーヤーとしてコートに立つことはなかった。それでも「チームの決まり事を誰よりも遂行して、もし誰かができていないときは、いち早く気付いてコミュニケーションを取る。プレーでは他の4年生が引っ張ってくれるので、自分はそれ以外のところをやります」とベンチから声をからし続けた。 日大との決勝は、序盤に流れを引き寄せられなかった。相手のスコアラー泉登翔(3年、福岡大大濠)の3ポイントが決まり、突き放された。タイムアウト時、真っ先に選手たちを出迎え、彼らに硬さが見られたという大久保は言った。「やってきたことを信じれば、流れは絶対にうちに来る。自分たちは後半勝負。それまでに今の点差を少しでも縮めよう」 第3クオーター(Q)を終えて、東海大は15点のビハインド。ベンチで「ディフェンスが何回連続で相手オフェンスをストップできるかを数えている」という大久保は、第4Qの中盤に3連続まで続いたことに気付いた。「前日の白鷗戦のときは、序盤で7ストップしてたんです。そういう展開のときは、必ず自分たちのゲームになる」。その言葉通り、西田の3ポイントが決まり始め、一気に3点差まで迫った。ただ残り時間が少なく、ファウルで時計を止めざるを得ない展開に。チームファウルがかさみ、日大にフリースローを与える状況に追い込まれ、追い上げもここまでだった。
「4年間、毎日毎日感謝してました」
頂上決戦の後、大久保は表舞台で涙を見せなかった。「4年間の集大成として『全部出し切って終わろう』と思っていて、ちょっと(涙を)こらえてた部分もあったんですけど、『自分が泣いちゃいけない』と思いつつ。泣くほどの後悔はないので、そんなに泣かなかったです」。表彰式の間もうなだれることなく、盾やカップを受け取る日大の選手たちに拍手を送り、応援が印象的だったチームに贈られる「クリーン・ザ・ゲーム賞」に東海大が選ばれたと発表されると、声援を送り続けてくれたベンチ外のメンバーが賞を受け取るように促した。 インカレの全イベントを終え、改めて4年間を振り返ると、どんな光景が思い浮かびますか、と尋ねると、大久保はこう答えてくれた。「自分からしたら、周りは本当にスーパースターなんですよ。そんな彼らと飯を食うこともそうですし、プライベートでどこかに出かけることもそうですし、その一瞬一瞬が特別でした。自分は言ってしまえば、そこら辺にいる人と変わらない。でも、ハーパーとか名の知れた選手たちと一緒にバスケットができることが幸せでしたし、ラストシーズンはキャプテンとしてチームをまとめる立場を与えてくれたことに感謝です。4年間、毎日毎日、感謝してました」 高い志を持ち、壁にぶつかっても諦めず、自分が貢献できる道を探し、遂行し続けた大久保の言葉は、取材しているこちらの心にも響いた。
第76回全日本大学バスケットボール選手権大会 男子決勝
12月15日@オープンハウスアリーナ太田(群馬) 日本大学 70-63 東海大学 ※東海大は2年連続の準優勝
井上翔太