プーチン政権、志願兵確保に躍起…一時金の追加メニュー・債務免除・帰還時の優遇措置
元兵士を行政幹部や議員に登用する動きも相次ぐ。プーチン氏は10月、ロシアが一方的に併合を宣言したウクライナ東部ドネツク州の「議会議長」を務めるアルチョム・ジョガ氏を、ウラル連邦管区大統領全権代表に任命した。ジョガ氏は2014年からウクライナ東部ドンバス地方で起きた紛争で、親露派部隊を率い、ウクライナ軍との戦闘に参加した。9月の統一地方選でも元兵士が与党から各地の議会選に出馬し、多数の議員が誕生した。
徹底した優遇策で志願兵を募るのは人的資源の確保に苦しむ証拠だ。英BBCと露独立系メディア「メディアゾナ」によれば、確認されただけで露軍兵士の死者数は今月中旬時点で7万8000人超だ。政権は22年9月の部分動員で世論の反発を招き、支持率を下げた。一時金などの支払いで兵士や家族の羽振りが良くなり、国内消費を押し上げたとの指摘があるほどだ。
ただ、金銭目的だけで軍と契約する人ばかりというわけでもなさそうだ。カザンの軍事務所を訪れた別の30歳代男性は2度目の従軍だが、前回の従軍から帰還後、平和な日常では「居場所がなかった」と打ち明けた。「従軍希望者には、お金目的や、スリルを味わいたい人もいる。ただ、自分のように社会からはみ出した人間もいるんだ」