マーケティングの力でキャリアを切り拓く。井上大輔さんに聞く「幸せな仕事の見つけ方」
ライフハッカー・ジャパンとBOOK LAB TOKYOがコラボ開催するトークイベント「BOOK LAB TALK」。第41回目のゲストは、『幸せな仕事はどこにある 本当の「やりたいこと」が見つかるハカセのマーケティング講義』の著者・井上大輔さんです。 マーケティングの力でキャリアを切り拓く。井上大輔さんに聞く「幸せな仕事の見つけ方」 国内外の企業でマーケティングマネージャーを歴任し、現在は通信会社で新規事業を担当するとともに、執筆や講演など多方面で活躍されている井上さん。 4作目となる本書は、3人の男女がそれぞれのやり方で幸せな仕事を見つけるまでの物語を通して、マーケティングの知見を個人のキャリア設計に応用する方法を紐解く意欲作となっています。 人生100年時代と言われる今、どうしたら自分自身のキャリアを「ロングセラー」に育てることができるのか──。3つのマーケティングの考え方を主軸に、そのヒントをお届けします。
「同質化→差別化」で自分の個性を生かす
ビジネスの世界でも、個人のキャリア設計においても、「差別化」の重要性がよく語られます。しかし井上さんが指摘するのは、意外にも「同質化」の重要性。 先に同類の製品との「同質化」要素を分析し、そのうえで「差別化」要素を乗せていくという順序を意識することが、成功への近道だと語ります。 人は自分とほかの人との差をつくろうと考えがちですが、ただ差があればいいというものではありません。買ってもらいたいなら、まずは「比べられるための土俵」に上がらなければいけない。 マーケティングで言うFOR(フレーム・オブ・リファレンス=参照枠)がこれに当たります。(井上さん、以下同) トヨタ自動車のレクサスを例に考えてみましょう。手厚いおもてなし、などの差別化要素を考える前に、まずは輸入高級車と同じ土俵で消費者に思い浮かべてもらうべく、ディーラーの設計や一目でそれとわかるデザインで「同質化」を行なったことが成功の鍵。井上さんはそう分析します。 この考え方は個人のキャリアにも応用できます。「笑顔が素敵、みたいな一見些細な『いいところ』も、ライバルが少ない土俵の上であれば、それが強力な差別化要素になるかもしれません」と井上さん。 目指す職種や役職があるならば、そこで必要とされる「同質化」要素は何なのか。それらを身に着けたうえで、自分ならではの「差別化」要素を考えてみるのが大切、ということでしょう。 本書に登場する主人公・一郎くんのように「人を構えさせない」といった小さな個性が、新たなキャリアにつながるかもしれません。