生理だから…諦めてしまう世界の女性たちを「吸水ショーツ」で救いたい たった1枚のショーツがもたらす大きな変化
■生理中は”穢れの者” 深刻なエチオピアの生理事情 国産の吸水ショーツ販売を果たした高橋さんは今、思春期の若者に向けて生理セミナーを各地で開催している。 タブ-とされがちな生理について正しい知識と、たくさんの選択肢があることを知ってほしいという思いからだ。 こうした活動は国内に留まらず、昨年12月、国連人口基金(UNFPA)と国際協力機構(JICA)による連携事業の一環として、エチオピアで生理セミナーを行った。 高橋さんが訪れたのは、エチオピア北部の都市メケレ。 2020年~2022年に起きた紛争で、多くが国内避難民になった。 夫を亡くし一人で子どもを育てる女性も少なくない。 国連人口基金によると、エチオピアでは28%の女性しか満足に生理用品にアクセスできていない。 生理ナプキンが十分に流通しておらず、価格も高く 買えるのは一部の人に限られているのだ。 流通している生理ナプキンも日本の物に比べると品質は良くないという。 生理ナプキンを長時間つけ続け、痒みやかぶれに悩む女性も多い。 生理ナプキンを購入できない人は、ボロ布を当てて過ごすため、外出もままならない。 そもそも、生理中の女性は「穢れの者」として扱われ、教会に入ることも許されない。 生理について口にすることすらタブーの女性たちへの「生理セミナー」が始まった。 ■生理痛 医師でさえ「胃の痛み」 女性は月に一度排卵すること。 妊娠しなかったら経血が体外に出るのが”生理”であること。 高橋さんは、日本では多くの人が学生時代に学ぶ基本的なことを伝えた。 エチオピアでは医師でさえ、生理痛を「胃の痛み」と表現することもあるほど、生理の基本的な知識が共有されていないのだ。 高橋くみさん 「最初はみなさん恥ずかしがっていましたが、次第に質問攻めにあいました。 排卵などの生理のしくみを学ぶ機会がなく、生理が終わることを知らない人も 多くいます。」 生理用品にアクセスできないエチオピアの少女や女性たちは、生理の期間中、学校に行けない、仕事ができないケースが多々あるという。 高橋さんがセミナーの最後に吸水ショーツを寄贈すると、女性たちから感謝と感激の声が上がった。 「これがあればどんなに楽になるか…」と。 国連人口基金は、日本の企業と連携し、エチオピア国内で吸水ショーツを生産するプロジェクトを開始した。 高橋さんもそこに参画している。 援助や寄付に頼らず、エチオピアの人々によって製造販売し持続可能なビジネスにすることで、女性の雇用、生計の維持、教育を受ける機会の確保にもつながっていく。