「頑張れる人」を無理に休ませてはいけない理由 「疲れるくらい楽しい」フェーズをどう過ごすか
突然ですが、あなたは今疲れていませんか? 20年間疲労を研究してきた医学博士・片野秀樹氏の著書『休養学:あなたを疲れから救う』によると、日本人の約8割が疲れているといいます。 【写真で見る】「もう疲れを残さない」疲労研究の第一人者による1冊 「日本は『元気です』と言いづらい社会なのでは」と語るのは、筋肉をほぐしながらピラティスの動きで体を鍛えるワークアウト・メソッド「ほぐピラ」の考案者として知られるパーソナルトレーナーの星野由香さん。 星野さんは現代日本の疲労をどう考えるのか。前編に引き続いてお届けします。
■「元気です」と言えない日本社会 本書では「日本人の8割が疲れている」「若い女性の約9割が疲れている」というデータが示されています。それを読みながら、日本は「元気です」とは言えない社会なのではないかと思いました。 70~80代の方で「元気です」と言う方は、体力的には若い人よりも絶対に疲れていて、体の不調としてもずっと重いはずです。 しかし、日本の若い人は、「元気です」と言うと、まだ余裕があるのだなと捉えられて、「じゃあ、これもやってくれ。あれもやってくれ」と仕事を増やされてしまいます。
そのことに苦しんでいる人が多い社会で、負荷が増えるのを避けるためには、「元気じゃない」と言わなければならないわけです。 とにかく「頑張る」人が多いとも言えます。 若い人には「がんばる」とひらがなでは書かず、「頑張る」と漢字で書く心理の人が多いのですが、「頑なに張る」と書いた意味は、火事場の馬鹿力のような、短時間の力を発揮するようなことで、そもそもそんなに長い時間続けなくてもよいのです。 教え子には、自分がやりたいという気持ちがある時は、思いっきりやりなさいと言いますが、その代わり、思い切り張って、やめるようにとも伝えています。そうしないとバーンアウトしてしまいます。それは本当に怖いことですから。
頑張りすぎて疲れているように見える人に対しては、「今、あなたの状態はどういう状態だと思う?」と質問するといいでしょう。 「自分は、頑張りたくて頑張っているのか?」という原点回帰をさせるのです。 本来、「なぜこれをしているのか」に常に立ち返ることは、教育として教えなければいけません。 しかし、多くの方の中に根深く残っているのは、「私は何位なのか」「私は正しいのか、間違っているのか」という比較論による思考ばかりです。