新しい犯罪集団「トクリュウ」とは? その犯罪手口、私たちが気を付けるには…専門家が解説
◆“末端”の使い捨て要員をいくら捕まえても中核メンバーに迫れない?
ユージ:この「トクリュウ」に対して、現状どのような対策がとられていますか? 塚越:警察も捜査手法の変革を急いでいます。基本的に犯罪組織の捜査では、例えば暴力団であれば末端から入って幹部にたどり着くという手法でしたが、トクリュウは末端の実行役と幹部の間に匿名性の高いアプリを使っていたりと、大きな溝があって捜査ができません。 逮捕される人は、ネットで集めたいわゆる“末端”の“使い捨て”が多く、中核メンバーの逮捕に至らないことが課題だと感じています。末端をいくら逮捕しても上につながらないことが問題です。 そのため、トクリュウ対策として資金の流れを重視することが大事です。トクリュウは特殊詐欺だけでなく、違法オンラインカジノや悪質なホストクラブといった犯罪への関与も疑われており、警察はそれぞれの収益のいきつく先に中核メンバーがいるとみられているので、それぞれ捜査していこうとしています。 警察庁は資金の経路を追うために、大規模な繁華街を管轄する警察に捜査部門を横断した新たな組織体制をつくるほか、全国でおよそ700人を増員。全国レベルで組織横断を実行していこうとしています。 もう1つは「闇バイトの募集」を阻止する取り組みです。警察庁は去年9月、ネット上での犯罪実行者を募集する投稿を「重要犯罪密接関連情報」という類型に加えることで、SNS事情社に投稿の削除を要請しています。実際にその後、去年の9月~12月の間に2,136件が削除されました。 求人サイトも対策を強化しており、「バイトル」の運営会社は生成AIを活用して、不審な求人を検知する仕組みを導入しており、これによって人間の目視のみのチェックに比べて作業時間をおよそ80%減らせているとのことで、求人サイト側も対策を進めています。
◆「闇バイト」対策とともに、情報通信に詳しい人材を警察へ
ユージ:「トクリュウ」の手口や対策を、塚越さんはどうご覧になりましたか? 塚越:顔の見えない犯罪がどんどん増えてきているということです。あとは、暗号資産などもこのトクリュウが使っているとみられています。警察の内部にそういった情報通信にかなり詳しい方をどんどん入れて、人材募集することが大事です。青少年が闇バイトなどに入りやすい傾向がありますので、そこは対策が必要です。この2つは、重要になっていくのかなと思います。 (TOKYO FM「ONE MORNING」放送より)