「私のせいだっていうの!?」夫と不倫した妹をベランダに閉め出した主人公。悪いのは不倫した妹なのに、立派な暴力だと責められて…【書評】
夫の不倫現場に遭遇したとき、冷静でいられる人は少ないだろう。もしもその相手が、実の妹だったら、どんな人間でも平静を保てるわけがない。 【漫画】本編を読む
『ベランダに潜む裸の女 妹に夫も人生も奪われました』(上原ひびき:漫画、サレ妻サヤカ:原案/KADOKAWA)は、自宅で夫の不倫現場に遭遇したことから修羅場に巻き込まれた女性の物語だ。 主人公・麻木サヤカは体調不良で早退した日に、夫の不倫を自宅で目撃してしまう。半年前に挙式したばかりで、ラブラブの新婚生活を送っていた中での裏切り…。それだけでも最悪なのに、その相手はなぜか自分と同じヘアスタイルのカツラをかぶった妹・アヤカだった。 「サヤカと間違えてしまった」と、あり得ない言い訳をしてくる夫。怒りに震えながらもアヤカを裸のままベランダに閉め出し、逃げられないように対処した。だが、外の暑さからアヤカがその場で倒れてしまう。そのときの対応が原因で、被害者と加害者の立場が逆転することに。 どう考えても、姉の夫と不倫している妹が悪いことは間違いない。だが、なぜか母も夫も妹の方を擁護して、口をそろえて「サヤカが悪い」というのだ。 「幼いころから身体が弱く、精神的にも不安定なアヤカを刺激するべきではない」と言われてしまうサヤカ。今、誰よりもケアを受けるべきなのは間違いなくサヤカなのに、どうして誰も味方になってくれないのだろうか。さらに理不尽なことに、ハルトはアヤカを刺激しないため、アヤカの言いなりになり、2人で同棲生活をはじめるというのだ。 じわじわと真綿で首を絞められていくような不気味な展開に、ページをめくる手が止まらない。 頭がおかしくなりそうなほどの状況に、サヤカは追い詰められていく。そしてこの不合理な状況は、さらに悪い方向へ加速していく。全裸のままベランダに閉め出されたことに対し、アヤカが警察に被害届を提出したのだ。その背景には、アヤカが抱えるサヤカへの鬱屈とした感情があるようで――。 ドロドロの姉妹不倫バトルの結末は一体どこへ向かうのか…。サヤカが幸せになれることを祈りながら、物語の行く末を見届けたい。 文=ネゴト / 押入れの人