在職中に亡くなった本人に代わって遺族が退職金を受け取ったら、相続税の申告をしなければならないの?
本人が在職中に亡くなった場合、遺族が本人に代わって退職金や退職年金を受け取る場合があります。 しかしその場合、遺族は相続税の申告をしなければならないのでしょうか。 本記事では、在職中に亡くなった方が会社から受け取った退職金などについて、相続税の申告が必要なのかどうかについて、解説します。 ▼亡くなった母が私名義で「500万円」を遺してくれていた! 名義は自分でも「相続税」はかかる?
退職金にはどんなものがあるのか
本人が亡くなった場合、遺族はどのような給付を会社から受け取るのでしょうか。その主なものは、次に示すとおり、本人が生存していれば定年などを理由に本人が受け取るはずだったものです。 1.退職一時金 自己都合や定年などにより退職する場合に、勤務年数や給与の額、役職などに応じて会社が規約で定めた方法で一括に支払われるものです。在職中に従業員が亡くなった場合、死亡退職扱いとなり、死亡退職金として遺族が受け取ります。 2. 確定給付企業年金(DB) 勤務先の企業が将来退職する従業員のために積み立てている年金です。 従業員の死亡時には、遺族が遺族給付金を受け取ることができる場合があります。 3.(企業型)確定拠出年金(DC) 前述の確定給付年金と同様、従業員の退職後の生活保障を目的として支払われる年金です。ただし、確定給付年金は将来受け取る年金があらかじめ確定しているのに対し、確定拠出年金は従業員が自身で行う運用の成績によって将来の年金額が変わるのが特徴です。従業員が死亡した場合、これまで積み立てた額の時価に応じて遺族へ一時金が支払われます。 4. 退職金共済制度による退職金 主に中小企業を対象とする制度で、国が運営する中小企業退職金共済制度や、商工会議所などが運営する特定退職金制度があります。加入企業の従業員が亡くなった場合、退職扱いとなり、毎月の掛け金と納付月数に応じた退職金が遺族に支払われます。 5.弔慰金 業務上や業務外の事由により社員が死亡した場合に、勤務先企業に弔慰金の規定があれば、遺族へ弔慰金が支払われます。 なお、厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」によると、退職給付(一時金や年金、またその両方)の制度を採用している企業は、全体の74.9%となっています(※1)。したがって、遺族が代わって何らかの退職金を受け取ることは、決してまれではありません。