「特定の食品ばかり食べる」「ガラスを噛むような感じがする」偏食が心配な子にやってはいけないこと
◆食べ物に対するこだわりがみられる偏食の子どもたち
偏食とは、特定の食品ばかりを食べたがったり、嫌がったりすることをいいます。好き嫌いとの区別は難しいですが、その程度がひどい場合を「偏食」と呼ぶケースが多いようです。 親としては、食べるものが偏ると成長に影響しないか心配になるもの。しかし、鶴見大学短期大学部 短期大学部 保育科 准教授の河合高鋭先生は、「身長・体重などの成長曲線を確認することは大切だが、過度に気にして無理に食べさせることにより、逆効果になってしまうほうが危険」と見解を示します。 「現代は菓子やジュース類など子どもが好む食品にもさまざまな栄養が入っているため、成長に必要な栄養は偏食であっても何らかの形で摂取しているのではないかという研究データもあります。もちろん、偏食がひどくて何も食べられないような場合は、別の方法で栄養を摂取する必要があります」 過去には、全く食べない4~5歳の子どもに対し、鼻や口からチューブを挿入し、栄養剤などを注入する経管栄養という手段を取ったケースもあるそう。 「まずは、経口摂取を心がけることが大切です。そのためには、あまり味や香りが強くない食品や本人が好む味からスタートすることが望ましいです」
◆味覚過敏だけでなく、感覚の鈍さが偏食の原因になることも
偏食の原因はさまざまですが、「食べる不快感や味覚過敏が原因として考えられる」と河合先生は語ります。 「例えば、味覚過敏の子どもは、コロッケなどの揚げ物でガラスを噛むような感覚を味わうといわれています。このように食感や味わいに違和感がある場合は、偏食に至るケースがあるでしょう。 また、注目されにくいですが、味覚鈍麻も偏食に至る場合があります。味覚や噛む感覚が鈍いため、食事が進まないんです。 以前、食べ物を口の奥へ指で押しつけるお子さんがいました。噛む感覚を強く感じるために押し込んでいたんです。その子はご飯をクリスピー状に薄くして、アツアツカリカリの状態にすると、指で押しつけずに食べられるようになりました」 このほか、口腔機能に問題があって食べられないケースも。 「いずれもまずは小児科で相談して、その子に合った治療法を探すのが適切でしょう」 乳幼児は、本能として匂いや味に対して敏感なケースが多く、好き嫌いが出るのは自然なこと。苦手な食品を無理に食べさせようとすると、偏食の傾向が強くなる可能性があるため注意が必要です。