”2050年までにキリスト再臨”を信じる人々がイスラエルを支持する理由とは?
イスラエル支持のクリスチャンはユダヤ人より多い
イスラム原理主義組織ハマスがイスラエルの民間人を襲い、それに報復する形でイスラエルによるガザ地区への攻撃が始まって一年が過ぎ、停戦は実現しないまま2024年が終わろうとしている。11月の大統領選では、バイデン政権のイスラエルに武器供与を続ける政策への批判もあり、特に若い世代やイスラム教徒の民主党支持が減少したとされる。しかし、来年から政権を運営する次期トランプ政権にこの問題の解決が期待できるのかどうかというと、現状多くのメディアが未知数だと報じている。 これまでと違うことをやってくれるのではないか、という期待がありつつも、トランプ内閣の閣僚の任用では既に国務長官にマルコ・ルビオ、イスラエル大使に福音派の牧師マイク・ハッカビーを起用するなど、親イスラエルの方針が明確で、「ムスリム・フォー・トランプ」の代表者らも落胆を隠せないと言っている。
トランプがイスラエルのガザ攻撃を止められない理由
2016年にトランプが最初に大統領選挙に勝利した際に注目されるようになったキリスト教右派である白人福音派キリスト教徒たちは、2016、2020年と同様、今回もその8割がトランプに投票した。福音派とは、聖書を文字通りに信じるプロテスタント集団を意味する。今回の選挙では「ハリスを支持する福音派(Evangelical for Harris)」などの反トランプを掲げた福音派キリスト教団体も組織されたが、変化を生み出すには至らなかったようだ。 最近日本のメディアでも報じられるように、白人福音派の大半はイエスラルのパレスチナへの植民を支持し、資金的、政治的に支援している。これに対して白人の福音派よりもイスラエルに現実的な繋がりを持っていそうなユダヤ人はと言えば、約7割がハリス・民主党に投票しており、これも1970年代以降一貫している割合だった。両者の支持政党の違いは、ユダヤ系アメリカ人が、少なくとも白人福音派と同様の意味ではシオニズムを支持していないことを示している。 今日、“親イスラエルのキリスト教徒”(=クリスチャン・シオニスト)の数は少なくとも数千万人と推定されており、世界のユダヤ人人口をはるかに上回るほどの規模を持つ。最大のキリスト教シオニスト組織であるCUFIは、1000万人の会員を誇っており、イスラエル支持のロビー活動でより有名なAIPAC(米国イスラエル公共問題委員会)の10万人の会員数をはるかに上回っている。 要するにトランプ政権に親イスラエルの政策を採らせているのは、ユダヤ系アメリカ人でもイスラエル人でもなく、アメリカ人のクリスチャン・シオニストなのだ。