今こそニッポン式で海外へ!「ローソン」「積水ハウス」の開拓者に密着
佐藤さんが案内してくれたのは、5月にオープンしたばかりの店舗。インドネシアのローソンは、日本と店のつくりが少し違う。店に入るとまず目に入るのが、店の面積の半分を占めるイートインスペース。 屋台で料理を買って食べる文化が根付くインドネシアのニーズに合わせ、店の半分はイートインスペースにしているのだ。
そして、クーラーが効いた店内でお客が頬張っていたのは「おでん」。ローソンはレジ横の軽食コーナーのメニューも充実させていて、イスラム教徒が9割を占めるインドネシアでは、豚肉は使わず、赤いウインナーも鶏肉を使うなど、現地に合わせた「おでん」を開発。すると去年、SNSをきっかけに火が付き、連日30度を超すこの国で、おでんブームが巻き起こっている。 さらに、おにぎりややサンドイッチといった日本の定番商品も、ローソンは地元の食品工場と提携。日本式の工程で製造し、各店舗に毎日届くようになっている。 他にも日本と同じように、店内調理のお弁当や、店で揚げたて出来立てを買える揚げ物コーナなど、ローソンのオリジナル商品が、特に若い女性に人気だという。
もちろん、ライバルも黙っていない。インドネシアで約2万店舗展開している関連会社の「アルファマート」。外資のコンビニは単独で展開できないため、ローソンはアルファグループと提携しているが、ブランドとしては別でライバルだ。 さらに、アルファと1、2を争う「インドマレット」も。こうした地場のコンビニは、食品だけでなく、日用品を数多く取り揃えている。さらに、日本の「ファミリーマート」も、300店舗に迫る勢い。日系コンビニのトップの座を、ローソンと競っているのだ。 主導権を握りたい…。この日、佐藤さんが視察した物件は、ジャカルタ郊外のショッピングモール。近々エステの店が撤退するそうで、交渉にやってきたのだ。 行動を共にするのは現地スタッフのエコさん。日本語も堪能で現地の情報にも精通した心強いパートナーだ。エコさんと共に周辺の状況をチェックすると、周りにはホテルや会社、病院があり、売り上げは期待できそうだ。 しかし、交渉に入るも、提示された家賃では採算が取れないことが判明。さらにインドネシアでは、基本5年契約で賃料も一括払い。途中で撤退しても、残りの賃料は返ってこないのだ。この日は結局家賃が折り合わず、諦めることに。