被災地視察のスペイン国王に泥を投げつけ、政府の洪水対応に怒りの声 捜索活動難航
豪雨により甚大な被害が出たスペイン東部バレンシア州で3日、現地を視察した国王夫妻に住民数百人が抗議し泥を投げつけるなどした。4日もショッピングモールの地下駐車場などでも遺体の捜索が行われた。この水害は欧州では過去50年間で最悪規模とみられ、スペイン国防省は部隊の追加派遣を発表している。 スペインで先週発生した洪水を受け、4日も捜索活動が行われた。当局の災害対応を巡って国民の怒りが高まる中、政府は数千人の追加派遣を発表。 バレンシアにあるショッピングモールの駐車場では、ドローンによる確認が行われた。救助隊が現場に残っていた水を複数のポンプで排水するなど、作業は難航。水没した何台もの車が入口をふさいでいた。 部隊は渓谷や川の河口付近でも遺体の捜索を実施。災害救助犬やドローンによる捜索が行われた。 3日時点の発表によると、この水害による死者数は217人に上る。多くはバレンシア州の住民で、パイポルタでは特に深刻な被害に見舞われた。 国王夫妻と首相は3日、被災地を視察。住民数百人が抗議し、泥を投げつけるなどした。住民は「人殺し」などと叫び、当局の警報発令が遅かったとする憤りをぶつけた。また、災害発生後の対応の遅さについても指摘した。混乱が起きた現場では、少なくとも1人の警備員が額から血を流していた。 バレンシア港には4日、食料や水、医療物資などを積んだ軍艦が到着。 ロブレス国防相は国営ラジオに対し、部隊2500人を追加派遣すると述べた。既に週末に活動にあたっている5000人と、物資の配布や清掃などにあたる予定。 10月末に発生した集中豪雨は欧州では過去50年で最悪規模の水害で、被災地の復旧作業は難航している。