葉緑体を動物細胞に移植し、光合成の初期反応を確認 東大など
シゾンの葉緑体を加えた液でCHO細胞を培養すると、貪食作用によって細胞が最大45個の葉緑体を取り込んだ。取り込まれた葉緑体を電子顕微鏡でみると、チラコイド膜の層状構造が2日間ほどは保たれており、光合成能があると判断できた。4日目になると層状構造が崩れていた。
葉緑体が見た目だけでなく光合成反応をしていることを確認するため、葉緑体のクロロフィルで水が分解されて生じる電子が移動する際のエネルギーギャップを蛍光として測定。層状構造が見えていた2日目まで蛍光を観察できた。4日目になると蛍光は著しく減って反応は止まっていた。 松永教授は今後、「光合成によって生じる酸素や糖などを計測し、光合成が起きていることを証明していきたい」と話す。 研究は、理化学研究所や東京理科大学、早稲田大学と、科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業などの支援を受けて行い、10月31日付けの日本学士院発行の国際科学雑誌「PJA-B」電子版に掲載された。