『おむすび』が紅白B’zサプライズを先取りしていた? 冷たくてもおいしいご飯へのこだわり
『おむすび』(NHK総合)第69話が1月9日に放送された。星河電機では、新製品の炊飯器の試食会が行われることになった。当日になって、モニターの人数が足りなくなったことから、翔也(佐野勇斗)は各部署を駆け回り、手伝ってくれる社員を探す。終了間際に翔也が連れてきたのは、ユニフォーム姿の集団だった。 【写真】翔也(佐野勇斗)が連れてきたユニフォーム姿の集団 幸太郎(大原由暉)や大河内(中山翔貴)の協力で、試食会は無事に終了。炊き立てのごはんを試食するのに体育会系の野球部はうってつけだが、翔也が声をかけなかったのは、野球部のメンバーに会うことに気おくれしたこともあった。部員たちは翔也を気づかい、顔を出せよと声をかける。監督の中村(嶋尾康史)は、翔也の目を見て「頑張れよ」と励ました。一緒に汗を流した仲間だから、ライバル心もありつつ、夢を断たれた翔也のつらさは誰よりもわかる。たとえ道が違っても、今でも仲間だというメッセージに胸が熱くなった。 第14週のタイトルは「結婚って何なん?」。結婚を認めてもらうため、結(橋本環奈)と翔也は仕事で結果を出そうと奮闘する。翔也がまとめたアンケートは開発部にほめられ、結も規格外の地元産野菜を使って、栄養バランスのすぐれたメニューを考案し、社員から喜ばれた。頑張ったことが評価され、仕事に手応えを感じる。充実感とともに一歩ずつ成長する様子が描かれていた。 結と翔也の節約ぶりは徹底していて、良いことがあった日も「餃子を食べたつもり」「打ち上げしたつもり」で、外食を我慢するストイックさがすごい。翔也は電車賃を節約するために走って帰るのだが、結たちの勤務先が茨木であることを考えると、さいぜんの神戸からのランも含めてちょっとした超人である。真似するのは難しいが、野球用具を背負って砂浜を走っていた糸島時代から一貫している。 ユニークな節約ネタに目を奪われるが、「結婚って何なん?」という問いに『おむすび』は観念的な回答ではなく、それぞれの仕事を頑張ることや節約に励むことで答えようとする。ここからは登場人物の中に生まれる成長の実感や、二人で生活するイメージを持つことが大事という考えが見て取れる。先立つものがないことを愛子(麻生久美子)たちは心配していたが、目の前の課題に取り組む結と翔也は地に足の着いたカップルと言えるのではないだろうか。