クラウドファンディングとカブス108年ぶり悲願 全米に広がる新観戦術とは
108年ぶりのカブスか、68年ぶりのインディアンズか。第7戦までもつれ込んだワールドシリーズが全米で大きく盛り上がっているが、両チームのファンもヒートアップ。定価では175ドル(約1万8000円)から450ドル(約4万6000円)程度だったチケットは、プラチナ化して、ESPNは、メジャー機構公認のチケット売買サイトstubhubで最も高い値段で取引されたものは、1万9500万ドル(約200万円)で、クリーブランドの通常1泊130ドル(約1万3000円)から160ドル(約1万6000円)のホテルが1500ドル(約15万円)になっていると報じた。先日のリグレーフィールドでの試合では、「市会議員さえ額面で入場券を購入できなかった」という記事までが、シカゴ・トリビューン紙に出ていた。 そういう富裕層のような特定の人間しか手にできないチケット高騰の影響もあって全米で広がりつつあるのが、クラウドファンディングを活用しての観戦スタイルだ。クラウドファンディングは簡単に言えばネットをつかった資金調達手段。支援者が出資する代わりに、その事業で得た金銭や、金銭以外の商品やサービスなどのリターンを得ることができるパターンや、リターンのない寄付型などがあるが、全米の野球観戦におけるクラウドファンディングの多くは寄付型だ。支援者に寄付してもらったお金でチケットを買い、旅費にあてて野球観戦をするというものである。 よく知られているのが、マーリンズ・イチローのメジャー通算3000安打達成の瞬間を見届けようと、「イチメーター」を作って応援し続けたエイミー・フランツさんのケース。マリナーズ時代から「イチメーター」で有名となったエイミーさんは、シアトル在住のため、記録達成までにかかる多大な旅費や、チケット費などの経費をまかなうためにクラウドファンディングを使って寄付を募ったのだ。 今回、オンラインで寄付を募ることのできるアメリカのクラウドファンディング「ゴー・ファンド・ミー」では、ワールドシリーズを観戦するための費用の寄付を呼び掛ける人が増加していた。 「ゴー・ファンド・ミー」は、先日、同サイトでリグレーフィールドでのワールドシリーズ観戦を希望する寄付キャンペーンは、「114」件あり、総額で10万ドル(約1030万円)を集めていると発表した。 例えば、イリノイ州在住のヘレン・シュレーゲルさんは、祖父をリグレーフィールドのワールドシリーズに招待したいと寄付を呼び掛けた。 「祖父は97歳で真珠湾攻撃時に従軍していた経験があり、私の知る限り、最も熱心なカブスファンです。祖父は1945年のワールドシリーズ第7戦も観戦しており、今でもそのチケットを持っています。祖父はそれ以来、長い間カブスがまたワールドシリーズに出場する日を待っていました。祖父がシリーズを観戦できるように助けてください」。 この人のメッセージは10月23日に発信されたが、5日間で512人から1万2976ドル(約133万円)の寄付を集めた。 ヘレンさんは、「入場券を2枚、プレゼントしてもらいました。皆さんから寄付していただいたお金はパープルハート(慈善団体)に寄付します」という感謝の言葉を同サイトに掲載した。予想以上にお金が集まり、チケットもプレゼントしてもらったため、集まった寄付金は、慈善団体に渡すそうだ。