勤労者皆保険と新NISAは「国民年金の第3号被保険者」を廃止に導く
日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の方は原則として、国民年金に加入する必要があり、この被保険者の種別は次のような3種類に分かれています。
【第1号被保険者】
自営業者、農林漁業者、フリーランス、20歳以上の学生、失業している方などは、第1号被保険者に該当するのです。 また第1号被保険者は納付書や口座振替などで、2023年度額で月1万6,520円となる国民年金の保険料を、各人が個別に納付する必要があります。
【第2号被保険者】
会社員や公務員などは厚生年金保険の加入者であると同時に、第2号被保険者にも該当するのです。 20歳未満や60歳以上の厚生年金保険の加入者も、第2号被保険者に該当するのですが、国民年金から支給される老齢基礎年金の受給資格がある場合には、65歳以降は第2号被保険者から外れます。 また給与から控除された厚生年金保険の保険料の一部は、第2号被保険者の国民年金の保険料として使われているため、各人が個別に保険料を納付する必要はありません。
【第3号被保険者】
第2号被保険者に扶養されている配偶者のうち、年収130万円未満などの要件を満たす20歳以上60歳未満の方は、所定の届出によって第3号被保険者に該当するのです。 この第3号被保険者の国民年金の保険料は、第2号被保険者の給与から控除された厚生年金保険の保険料から賄われているため、各人が個別に保険料を納付する必要はありません。
第3号被保険者の見直しに再び注目が集まっている
第3号被保険者の国民年金の保険料は、配偶者が第3号被保険者になっている方だけでなく、すべての厚生年金保険の加入者が負担しています。 そのため独身で配偶者がいない方や、夫婦共に厚生年金保険に加入している方は、余計に保険料を負担している状態なのです。 また夫婦共に第1号被保険者の場合、例えば夫が妻を扶養しているケースでも、2人分の国民年金の保険料を納付する必要があります。 こういった不平等な点があるため、第3号被保険者の見直しについては20年前くらいから、厚生労働省の審議会などで議論されてきました。 最近はあまり話題にならなかったのですが、武見厚生労働大臣が第3号被保険者の見直しについて言及したため、再び注目が集まっています。 厚生労働省の審議会においては、第3号被保険者に負担を求める案や、第3号被保険者の年金額を減らす案などが議論されたのですが、最終的な結論は出ていません。 ただパートタイマーなどの短時間労働者に対する、社会保険(健康保険、厚生年金保険)の適用を拡大して、第3号被保険者を将来に向かって減らしていく方向性については意見が一致したのです。