東京タワーの非常階段をわずか3分で駆け上がる!国内負けなし、世界一を目指すママアスリートが挑む「階段競技」の世界
──初めての階段レースの結果はどうだったのでしょう? 立石さん:一般の部で優勝することができて、副賞で香港のレースへの参加権をもらいました。その試合に出たとき、エリートの部で表彰台に立っていた渡辺良治さん、吉住友里さんの姿を見て、「日本人でも海外の選手と戦えるんだ」ってすごくカッコよく見えたんです。二人から「適性あるからこれからもやろうよ!」って言ってもらえたのがうれしくて。特に渡辺さんからは「来年から一緒に世界シリーズ戦を回ろう!」と勧誘されて、このまま世界を目指して頑張っていきたいと思ったんですよね。
──初レースで優勝したのですね!それまでご自身に「上りの適性」があるとは思っていなかったのでしょうか? 立石さん:陸上をやっていた頃から、高尾山でのトレーニングを入れていたんです。他の方と走ったときに「上りが強いからそういう競技があったら活躍できるんじゃない?」とは言われていて。でも、それを生かせる競技があるとは知りませんでした。初めての試合で優勝できたことで、「もしかしたら素質があるのかな」と自信を持てたんです。翌年からは、階段競技と並行して山岳競技にも挑戦するようになりました。
■国内外で一番「走りにくい」タワーとは…? ──立石さんは国内外の多くのレースに参加していますが、タワーやビルによってコースの特徴なども異なるのでしょうか? 立石さん:選手たちの間では、短距離、中距離、長距離の3つのタイプがあるといわれています。短距離タイプは、競技時間が2、3分と短めで、20~30階の高さの鉄塔やビルを駆け上がるもの。国内だと東京タワーや中部電力ミライタワーが当てはまり、かなりのスピード感が求められます。
中距離タイプは30~60階の高さの高層ビルのレースで、競技時間は4~10分程度。国内ならあべのハルカスが代表的ですが、海外では60階前後のビルでのレースが一番多いですね。 それを超える長距離タイプは80階以上の超高層ビルで行われるもので、私が出場した中で一番長いレースは韓国のロッテタワー(123階)です。日本ではこれほど高いビルでのレースはほとんどなく、唯一当てはまるのが東京スカイツリーでしょうか。