「アスティエ・ド・ヴィラット」繊細な揺らぎが愛おしい逸品です【石井佳苗さんのインテリア名品】
連載:KANAE’s MASTERPIECES────Interior Items スタイリスト 石井佳苗の「インテリア名品」
テイストの変遷や引っ越しを重ねた今も、手元に残る大切なもの。石井さんのスタイルを形作る名品を、毎月1点ずつ紹介します。今回は読者の間でも人気の高いブランドの、石井さんならではのチョイスを。 ●石井佳苗さん Kanae Ishii スタイリスト 「カッシーナ・イクスシー」にて10年間勤務後、独立。雑誌や書籍、広告など多分野にわたる活躍で知られる。住まい作りの感覚を磨くヒントを綴った近著『Heima』(扶桑社)も好評。
▶ニュアンスある白は、アスティエならでは。繊細な揺らぎが愛おしい逸品です やや揺らぎのある、繊細なフォルム。はかなげな印象のアスティエの陶器に触れるときは、両手でそっと支えたくなるような、ちょっとした緊張感があります。 初めて手に入れたのは、キャンドルとふた。 その出会いは、実は現実的な理由で……撮影用にお借りしたキャンドルが夏の猛暑で溶けてしまい、買い取ることになったのです。猫好きとしては「せっかくなら」と、ふたを追加で購入。そこから、ふと手に取ることが多くなり、以前この連載でも紹介したジョン・デリアンとのコラボアイテムなど、気づけば着々と増えていきました。 中でも惹かれるのは、私のファースト・アスティエでもあった“セツコ・コレクション”のもの。絵画界の巨匠・バルテュスの夫人であり、自らも画家として活動する節子・クロソフスカ・ド・ローラ氏とのコラボで’14 年から展開されているシリーズです。そのデザインにはなんとも表現しがたいエスプリが。特に猫は表情にちょっと毒っ気があり、猫を飼っている人なら、「あぁ、この感じ!」と唸ってしまう愛らしさが漂います。 白好きの私が、特にアスティエの白に魅力を感じるわけは、甘すぎないニュアンスを感じるから。あらゆるコラボ作品においても、ひと目でアスティエとわかる、その特別な質感。手作業で仕上げているので、フォルムの揺らぎ、釉薬のかかり方がそれぞれ違うのも、“私だけの一品”として大切に思えるゆえんです。