なぜ東洋太平洋&日本ミドル級2冠を達成した竹迫司登はニコリとも笑わなかったのか?
ボクシングのOPBF東洋太平洋ミドル級タイトルマッチが18日、後楽園ホールで行われ、挑戦者で日本ミドル級王者の竹迫司登(28、ワールドスポーツ)が、王者の細川チャーリー忍(35、金子)に一人がフルマークをつけた3-0の大差判定で勝利、新王者となった。2冠となった竹迫は、4月下旬にも同級1位の国本陸(22、六島)と日本タイトルの防衛戦を行わねばならないが、年内には、WBOアジアパシフィック同級王者のベテラン、野中悠樹(42、井岡にターゲットを絞り3冠獲得を狙うプランが計画されている。
研究された密着戦に苦労
内容もスコアも圧勝。なのに竹迫はニコリとも笑わなかった。 渦巻いたのは、KOアーチストとしての倒せなかった悔しさと、力んで空回りする展開を自制できたことへの満足感との複雑な感情である。 「クリンチが多かったですが、加藤戦のときのように序盤、かっとしてパンチが大振りになって、後半、失速してやられるというようなことはなかった。そこは冷静に自分を抑えられたと思う。組み立ての中で倒すのが理想だけど、そうできなかった悔しさもある。倒したかったです」 序盤に竹迫は何度もチャンスを作った。ガード上から強引に左ジャブ、右ストレートを打ち込んで追い込み、右フックから左ボディの対角線のコンビネーションブローは大きな音を後楽園ホールに響かせた。特に左右のボディ攻撃は破壊的だった。 「ジャブを打ったとき、2秒ほど守りに入り、(チャーリーが)弱気になったのがわかった」 だが、チャーリーは竹迫を研究していた。 ガードを固めて前に出て距離を潰して密着、頭を竹迫の脇のあたりまで下げて打つ場所を消す。竹迫が負けずと前に出て反撃を試みようとすると腕を絡めてクリンチに封じた。 竹迫は「ボディは効いていたと思う」と言うが、チャーリーは、終始、そのパターンを貫き、決定打は許さなかった。 「ボディ? ダメージはなかった。効いていたらあんなに動けない。みんな僕にボディを打ってくるが、あいつの方がボディは効いているはず」とチャーリーの回想。 だが、クリンチで強打を封じるだけでは、ポイントにならない。竹迫は、絶対に下がらずに確実に毎ラウンド、ボディをヒットさせ、4ラウンド、8ラウンド後の公開採点では、3者が共にフルマークで竹迫を支持した。 「軽いパンチでいい。細かく上へ打っていくと相手が嫌がっているから」 齋田竜也会長は、終盤、そうアドバイスを送った。