ヨーグルトを食べて体調が悪化…じつは「日本人」にとっては「意味がない8つの健康法」
8 日本人はお茶やコーヒーで情緒不安定になる?
緑茶、ウーロン茶、プーアル茶、さらには紅茶まで、お茶の仲間には、カテキン、カフェイン、ビタミンC、ポリフェノールなど、健康に役立つさまざまな成分が含まれています。ダイエットに効くと聞いて、積極的に飲んでいる人もいるでしょう。 ただし、入っている有効成分はごく微量なうえに、飲むだけでコレステロールの数値や血糖値が改善するとは、ちょっと考えられません。カフェインには利尿作用があるので、水分の排泄が増えて体重は減りますが、減るのは水分だけです。脂肪が落ちるわけではありません。 このカフェインも日本人とは相性が良くないのです。大事な仕事の前に栄養ドリンクをぐっと飲む。仕事が終われば「やれやれ、ようやく終わったな」と温かい湯吞みに手を伸ばす。カフェインは日常生活にすっかり溶けこんでいます。脳の神経を興奮させることで集中力が高まり、疲労を消す効果があるからです。 その一方で、摂取し過ぎると、頭痛、不安、抑うつ、不眠、嘔吐、下痢などを起こすことも知られており、欧州食品安全機関(EFSA)など、いくつかの国と地域が、カフェインを安全に摂取できる1日あたりの最大量を定めています。しかし、カフェインが体に与える影響は個人差が大きく、基準以内の量であっても症状が出る人もいます。 近年になって、この個人差に関連する遺伝子が見つかり始めました。そのなかの一つにはいくつかタイプがあって、どのタイプの遺伝子を持つかで、カフェインで頭がすっきりして気分が良くなるか、逆に不安が高まるかが決まります。日本人を含むアジア人は、カフェインで不快な症状が起きやすいタイプの遺伝子を持つ人が半数にのぼり、とくに日本人の4人に1人は、カフェインを150mg摂取するだけで不安定な気持ちになるという報告があります。 カフェイン150mgというと、玉露1杯、コーヒー1杯に含まれる量です。缶コーヒー1本にもほぼ同じ量が入っていますし、紅茶やウーロン茶も500mlのペットボトルで飲むと、同じくらい摂取することになります。 これに対して、欧米白人やアフリカ系の人、そして同じアジア人でも中国人は、カフェインが合わない人は少数派です。欧米人がコーヒーを、中国人がお茶をおいしそうに飲む映像は、映画やドラマ、広告でよく使われますが、日本人とは体が違うのです。 カフェインは強い作用を持ち、かつては薬として用いられていました。あくまでも嗜好品なのですから、合わないと思ったら、ひかえるのが賢明です。 さて、ここまで読んで、体質が違えば、同じ健康法が毒にも薬にもなることがおわかりいただけたと思います。しかし、問題は健康法にとどまりません。高齢化が進む中で、さらに増えると予測されている生活習慣病、そして日本人の死因第1位を占める、がん。これらの重要な病気についても、欧米で確立された予防法と治療法が日本人には必ずしもあてはまらないことがわかってきました。 さらに連載記事<「胃がん」や「大腸がん」を追い抜き、いま「日本人」のあいだで発生率が急上昇している「がんの種類」>では、日本人とがんの関係について、詳しく解説しています。
奥田 昌子(医学博士)