事件当時は野村証に勤務、広島強殺未遂容疑の29歳男性-共同
(ブルームバーグ): 強盗殺人未遂と現住建造物等放火の疑いで逮捕された29歳の男性が事件当時野村証券の社員だったと、共同通信が捜査関係者への取材を基に31日報じた。
同報道によると容疑者は7月28日、営業先の顧客だった広島市の80代夫婦に夫婦宅での食事を持ちかけ、食事中に睡眠作用のある薬物を混入したとみられるという。意識をもうろうとさせたところで住宅に放火し、現金約2600万円を奪ったとみていると報じた。
ブルームバーグの電話取材に対して、野村ホールディングスの広報担当者はこの男性が元社員であることを認め、すでに懲戒解雇されていることを明らかにした。さらに、元社員が逮捕されたことは極めて遺憾とコメントした。懲戒解雇の時期や理由についてはコメントを控えた。
野村HDは富裕層を対象にした国内リテール事業を強化した結果、同事業が軌道に乗り始めている。営業を担当していた元社員による事件が発生したことで、顧客離れが起きかねず同事業の収益に影響が出る可能性もある。
ブルームバーグ・インテリジェンスの伴英康氏は野村証のレピュテーションリスクは避けられないと指摘。「社員がそのような事件を起こせば顧客の間に不安感が出る」とし、不安をいかに早く鎮静化させるかに注力する必要があるとの考えを示した。
米国モーニングスターのアナリスト、マイケル・マクダッド氏は、事件は社員個人の行為で会社が責任を負うべきものではないものの、野村証の社会的評価を傷つけるもので「かなり深刻な事件」だと述べた。
野村証では2019年に姫路支店の元社員が退職後に、同証の顧客を含む複数の投資家に架空の投資商品の提案を行った詐欺容疑で逮捕されていた。また、同年には同証の社員2人が女性に大量の酒を飲ませて昏睡(こんすい)させ、性的な暴行をした疑いで逮捕される事件も発生していた。
31日には国債の相場操縦問題を受けて、野村証の奥田健太郎社長ら8人が役員報酬の一部を自主返上することも発表している。
(c)2024 Bloomberg L.P.
Takashi Nakamichi, Nao Sano