人事部長が語る 「高い給与を払っても採りたい」50代転職者の特徴 “晩年期”の50代なのに重宝されるのはなぜ?
■管理部門系の職種は手堅いニーズが ② ポータブル性が高い職種の人 どこの会社でも必要とされる職務に就いている人(ポータブル性が高い職種の人)は、やはり企業からのニーズは高い。 人事の自分が言うのもおこがましいが、その代表職種が人事や経営企画、経理・財務、宣伝・広報などの「管理部門系」の仕事だ。 これらの分野で一貫して専門性を磨いてきた人は、年齢や出身業界に関係なく、企業から常に手堅いニーズがある。50代以降の場合、マネジメント経験が豊富にあるとさらに付加価値は高まり、年収アップも期待できるだろう。
営業職のプロも、専門性があると言えるが、必ずしも他社で通用するとは限らない。それは扱う商材やサービス、取引対象によっても、やり方がまったく異なるからだ。 営業手法も多岐にわたるため(新規開拓またはルートセールス、従来型の訪問営業またはインサイドセールスなど)、入社後も前職同様、成果を挙げてくれるかどうか、予測がつきづらいのが難点だ。 また、ブランド力の高い会社で営業やマーケティング職をしていた人も、少しだけ注意が必要だ。その会社で得た成績は、自身の実力というより、自社のブランド力によるものと考えられなくもないからだ。
要は会社に「下駄をはかせてもらっている」可能性も高いので、採用時に過去の実績について詳しく確認する必要がある。 ■欲しいのは“表にも裏にも回れる”50代 ③ 柔軟性が高い人 組織で活躍してもらうには、経験やスキルもさることながら、「人間性」も重要な要素だ。特に年齢とともに失われがちな“フレキシビリティ”を持つ50代は、高い評価を得やすい。 長い間、仕事をしていると、「こうあるべき」という自分なりの型ができてしまうものだが、会社が変われば、仕事のやり方も取り巻く状況も異なり、そこに柔軟に合わせていく姿勢が必要だ。
ときに自分の型を崩してでも、新しいやり方やアイデアを取り入れられる人は、結果もすぐに出やすい。 また、50代ともなると、自分より年下の社員が上司になることもザラにある。「オレがオレが」系の自分を曲げられない人は、新しい組織でやっていくのはまず難しいだろう。 その時々の場面によって、表にも立てるし、裏方にも回れる。年下の上司が多少頼りなく見えても、上から目線にならずに陰で支えることができる。 そうして、表にも裏にも上手に立ち回れる経験豊富な50代は、多種多様な人材が集う会社組織に「調和」と「安定感」をもたらしてくれる。ぜひとも職場に長くいてほしい人材だ。
こうした人間性の部分は、採用時に見極めるのはなかなか難しいのだが、私の場合は、面談で念入りに掘り下げたり、「リファレンスチェック」で前職での仕事ぶりをリサーチしたりしながら、できる限りつかむようにしている。 さて、次回は、「こういう50代は採用したくない」というポイントや実例について紹介したいと思う。
萬屋 たくみ :会社員(人事部長)