人事部長が語る 「高い給与を払っても採りたい」50代転職者の特徴 “晩年期”の50代なのに重宝されるのはなぜ?
組織をよりよくするための“黒子”として暗躍している、企業の人事担当にフォーカスする連載『「人事の裏側、明かします」人事担当マル秘ノート』。現役の人事部長である筆者が実体験をもとに、知られざる苦労や人間模様をお伝えしています。 【画像で確認】「こういう50代はぜひ採用したい!」3つのタイプ。市場でニーズが高まっている職種は? 連載8回目は、採用現場から見た、「50代でも採りたい転職者の特徴」について紹介します。 ■会社組織における50代の位置づけ 健康寿命の延伸による影響だろうか。今どきの50代は、実年齢より若々しく、気力・体力も旺盛な人が多い。その気になれば、新たなビジネスで一花も二花も咲かせられるほど、実社会でまだまだ力を発揮できる世代だ。
だが、会社組織では、どうだろう。残酷にも、会社には「定年」という、れっきとした労働寿命が定められている以上、50代はもはや会社員としては「晩年期」だ。 しかも、「晩年期」に当たる50代の給与はめっぽう高く、年功序列の会社であれば、年収額は最高値に達している。 人件費は高くつくのに、定年までの残り時間が少ない。その限られた時間で、成果を挙げてくれるかわからない……。そのような50代転職者を採用側は、敬遠しがちなのは事実だ。高い給与に見合うほどの高い実力がなければ、積極採用しないのが正直なところである。
ただ、そうした実情がありながらも、「こういう人物なら50代でもぜひ採りたい!」という層がいる。その特徴を3つに絞ると、以下のような人物像になる。 ① 希少性が高い職種の人 ② ポータブル性が高い職種の人 ③ 柔軟性が高い人 上記の特徴はあくまで、採用現場を見てきた人事担当である筆者の“一見解”だが、それぞれについて思うところを書いてみたい。 ■54歳男性を他社と獲り合いに… ①希少性が高い職種の人 「希少性が高い職種の人」とは、特定の専門知識やスキルを持ち、なおかつ転職市場において対象者が少ない層のことだ。
中でも、ITエンジニアは、圧倒的に人材が不足しており、企業間でも獲り合いになっているのが現状だ。年齢にこだわらず、積極採用する企業が増えており、50代以降も第一線で活躍できるチャンスが広がっている。 一方、特定の職種でも急激にニーズが高まっている。たとえば、品質管理(品質保証)、法務・コンプライアンス、内部監査、サスティナビリティ推進などだ。 背景には企業のグローバル化に伴い、労働環境や業務プロセスなどで、より厳しい国際基準が求められるようになったことが挙げられる。