【おひとり様老後の3大不安を解消!・医療費】公的制度を最大限に活用。細かい支出の節税対策も。医療保険の「卒業」も選択肢の一つ
年間の医療費が高額になったとき、節税対策として活用できるのが「医療費控除(B)」です。医療費に加え、先進医療や自由診療の治療費、入院時の食事代、交通費、薬代・漢方薬代、治療のために処方箋なしで購入した医薬品代なども控除の対象。 領収書はすべて大事に保管し、忘れずに確定申告してください。控除の対象になるかわからない場合は、税務署の無料相談などに問い合わせましょう。 近年、紹介状を持たずに大病院や特定機能病院を受診すると、特別料金がかかるようになりました。医科の初診で7000円以上ですから、窓口で初めて金額を見て驚く方も多いようです。この出費を防ぐには、まずかかりつけ医で診察を受け、必要に応じて大病院への紹介状を書いてもらうようにしましょう。 長期にわたって患者の病歴や生活習慣などを把握してくれているかかりつけ医は、不調を抱えがちな高齢者にとって心強い味方にもなります。同じ病院でデータを積み重ねていると、ちょっとした数値の変化に気づいてもらえることが多いのです。 病気の早期発見は、多くの場合、治療期間が短くなるため、医療費の節約につながります。自治体の特定健診やがん検診を定期的に受けるほか、特に心配な項目がある場合は人間ドックも検討するなど、健康チェックを怠らないこと。これは、医療費を抑えるという意味でも大切な姿勢だと覚えておきましょう。
◆医療保険が必要な人、必要ない人 ここまで医療費を抑える話をしてきましたが、実際、この先いくらかかるのか気になる方も多いと思います。冒頭で紹介した総医療費のデータに各年代の自己負担率をかけて計算すると、65歳以降にかかる医療費の自己負担額は約233万円です。 ここに高額療養費制度や医療費控除の還付分は反映されていませんが、前述した(2)(3)の費用も別途かかるため、200万~300万円が、65歳から亡くなるまでに負担する医療費の目安。これを純粋に「医療に使えるお金」として貯金しておくことをおすすめします。 特にシニアの方は、医療費と生活費の口座を分けておかないと、生活費や介護費の補填分と医療費の出入りが交ざってわかりにくくなります。医療費専用の口座を作っておけば、半年や1年ごとに残高を確認することで、いくらかかったか把握もしやすいでしょう。 最後に、あらためて見直していただきたいのが医療保険です。内容をよく確認せずに、毎年更新している人も多いのではないでしょうか。この先も払い続ける保険料に対し、病気になったときいくら給付が受けられるのか――。 基本的に医療保険は掛け捨てで、入院等をしなければお金は受け取れません。しかも、医療の進歩によって、入院期間は年々短期化しています。一度、ノートなどに保障内容を書き出し、重複がないか、本当に必要か確認しましょう。
【関連記事】
- 【おひとり様老後の3大不安を解消!・認知症】地域の介護支援サービスを早めにチェック。かかりつけ医で早期発見、症状が進む前にケアマネとの繋がりを
- 【おひとり様老後の3大不安を解消!・孤独死】自治体の「見守りシステム」を活用しながら、地域の人とのつながりを大切に
- 未婚、死別、離婚…おひとり様の女性3人が将来を語り合う「健康・お金・孤独が不安。自分の老いへのリアルな備えを」稲垣えみ子×吉永みち子×小谷みどり
- 年金世代は「貯める」より「使う」!?夫婦で家族カードの作成、銀行口座は3つに絞る。がん保険、認知症保険、死亡保険…見極めのポイントは?
- いきなりひとり旅が不安なら、まずは旅行中の半日ソロ行動や、おひとり様用ツアーから。慣れたら都市丸ごと満喫、聖地巡礼、自分史旅などテーマ旅も