ラーメン官僚が推す古都・奈良県の本当にウマい店。奈良最強の秘境店『ラーメン河』
さて、2024年11月現在、同店が提供するのは、「ラーメン」と「まぐろ丼」の2品のみ。店主は、『ラーメン河』を開業する前、大阪府内で寿司屋を営んでいたという経歴の持ち主。その経験を活かして作られる、本格的な酢飯を用いた「まぐろ丼」も、飛ぶように売れる人気メニューだ。「まぐろ丼」の1日提供杯数は、「ラーメン」よりもさらに少ない。お客さんのほとんどは店主の経歴を予習済みで、「ラーメンまぐろ丼セット」を注文するため、「まぐろ丼」はあっという間に完売してしまう。 着席してから約10分。店主自らの手により眼前へと供される「ラーメン」は、秘境店のそれとは思えないほどハイレベルな塩ラーメンだ。
鶏ガラを軸に少量の豚足を加えることでコクを付与したスープは、トッピングの白菜のナチュラルな甘みがしっとり溶け出し、ひと口目から、鳥肌が立つほど上質なうま味が味覚中枢を強襲。塩ダレと動物系素材の風味が舌上で一体化し、より高次元なうま味を生む様も、この上なくドラマチックだ。もちろん、白菜、チャーシューなどのトッピングも手抜かりなし。それぞれに下味がしっかり施されており、最後まで、箸とレンゲを持つ手が止まることはない。 一方の名物「まぐろ丼」も、専門店顔負けの完成度を誇る逸品。フルポーションのようなボリューム感で、酢飯の上に店主自ら市場で仕入れたマグロの漬けが大量に搭載されている。 吉野川のせせらぎをBGMにしながら夢中になって食べ進めているうちに、気が付けば、ラーメンもまぐろ丼もペロリと平らげてしまっていた。 この内容の充実ぶりは、単なる“秘境店”のそれではない。“実”も兼ね備えた、奈良県最強格の実力店だ。
●SHOP INFO ラーメン河 住:奈良県吉野郡吉野町菜摘470 TEL:0746-32-8384 営:10:00~12:00(売り切れ次第終了) 休:水・木 ●著者プロフィール 田中一明 「フリークを超越した「超・ラーメンフリーク」として、自他ともに認める存在。ラーメンの探求をライフワークとし、新店の開拓、知られざる良店の発掘から、地元に根付いた実力店の紹介に至るまで、ラーメンの魅力を、多面的な角度から紹介。「アウトプットは、着実なインプットの土台があってこそ説得力を持つ」という信条から、年間700杯を超えるラーメンを、エリアを問わず実食。47都道府県のラーメン店を制覇し、現在は各市町村に根付く優良店を精力的に発掘中。