47歳女性からの質問「子宮を全摘してもホルモン補充療法(HRT)はできますか?」HRT最新事情とメリット・デメリット
ホルモン補充療法(HRT)とは何ですか。基本的な概要について教えて下さい
ホルモン補充療法は、分泌が低下した女性ホルモンを補うことで更年期障害の症状改善・予防をするとともに女性の若さ、活力を保つことを目的とした薬物療法になります。 女性ホルモン、特にエストロゲンは、女性の体を守る重要な役割を担っています。血管の若さを保つ役割を果たし、コレステロール値や血圧をコントロールすることで心血管系の健康をサポートします。 また、脳の機能を維持する働きがあり、認知機能にも良い影響を与えるとされています。さらに、皮膚のきめや弾力を保つことで若々しい肌を維持し、骨密度を守ることで骨粗しょう症のリスクを軽減します。そして、性器の粘膜を保護する役割も果たすなど、女性の健康に幅広く貢献しています。 しかし、閉経に伴いエストロゲンが急激に減少すると、それまで女性の体を守っていた「防御」が外れたような状態になります。この変化が、更年期の不調の大きな原因となるのです。
具体的な更年期症状
・月経異常(不正出血) ・自律神経失調症状(ホットフラッシュ、異常発汗) ・精神神経症状(不安、倦怠感、不眠、いらいら) ・生殖器萎縮症状(腟炎、外陰部掻痒感、性交障害) ・骨粗鬆症 ・心血管系疾患
ホルモン補充療法(HRT)の目的
ホルモン補充療法の目的は、更年期以降の女性の健康を改善し、生活の質(QOL)を向上させることです。大切なのは「女性の健康寿命」をのばすこと。近年、女性の平均寿命は87歳前後と飛躍的に延びましたが、閉経の平均年齢は約51歳と昔と大きな変化はありません。 女性は男性よりも寿命が長い一方で、閉経後の人生が長くなるため、寝たきりになるなど「健康寿命」と実際の寿命との差が広がることが問題視されています。 また、40歳未満で自然閉経となることを早発閉経と呼びますが、こういったケースでは健康状態や生活の質(QOL)が低下するリスクがさらに高まり、最新の研究では寿命にも影響があることが報告されています。 このため、閉経後の数十年を健康に過ごすためのサポートとして、ホルモン補充療法が注目を集めています。