「敵基地攻撃能力」への見解は? 自民総裁選出馬の石破・菅・岸田各氏
安倍晋三首相(自民党総裁)の後継を決める自民党総裁選に8日、石破茂元幹事長、菅義偉(よしひで)官房長官、岸田文雄政調会長の3氏が立候補を届け出た。その後に開かれた共同記者会見では、北朝鮮によるミサイル脅威など緊張関係が高まっている安全保障環境において議論されている「敵基地攻撃能力」の在り方について3候補がそれぞれの見解を述べた。 【動画】自民党総裁選 石破氏・菅氏・岸田氏が共同記者会見
敵基地攻撃能力とは、日本が近隣国からミサイルで攻撃されることを想定し、その前に相手国の発射装置や拠点施設を攻撃する能力の事を指す。敵基地攻撃能力について政府は、憲法上は認められるが保有しない姿勢を取ってきた。 元防衛庁長官・防衛相の石破氏は、「被害が出てからでは遅すぎる。恐れ(がある)の段階では早すぎる。着手の段階になれば、個別的自衛権の行使として、相手の策源地を攻撃することは許されることは長官時代に答弁している」と語った。 一方、「その時に答弁したのは、北朝鮮の指導者が『これから日本を攻撃する』と宣言し、液体燃料を2時間3時間かけて注入し、ミサイルが直立すれば不可逆的な段階に入るのでまさしく着手だと(判断できた)」と説明。しかし、(1)いまは固体燃料のため瞬時に発射準備ができる(2)発射台が移動可能でどこに行くか分からない――など技術の進歩により当時と状況が異なると指摘した。さらに、着手時期の判断と情報入手方法を詰めないまま議論が進むことは「極めて危険だ」とも語った。 元外相の岸田氏も「敵基地攻撃については私も外相時代にたびたび質問を受け、憲法では許されるけれども、我が国としてこの能力を持たず、能力を持つ予定もないと基本的な答弁を繰り返した」と発言。ただ、「国民の命や暮らしを守る最低限の備えとして必要なのかどうか、議論を行うこと自体は意味があるものだと思う」としながらも、「現実問題、先制攻撃は国際法違反。着手の時期と言うのは国際法の世界でもいくつも論説がある。技術においても、実行可能なのか。法律的にも技術的にもしっかりつめないとならない点もたくさんあるのではないか」と述べた。 菅氏は「憲法の下、専守防衛の範囲の中で、いま与党でこの問題について議論している。自民党で議論して、最終的には与党の議論を見据えながら、対応していきたい」と述べるにとどめた。