「配属ガチャ」に対応!新卒採用はここまで来た、Z世代に多いタイプは「やりたいこと至上主義」だった
約10年間で生まれた差異については、「ゆとり教育以降の『自分のやりたいことをやることが正解』という考え方の中で育ったこともあり、自分のやりたいこと至上主義になっていると思われる。スキルが育まれることによって得られる関係性や見える世界の変化があることを、まだ経験的に理解できていないのだろう」(小栗フェロー)。 ■「配属ガチャ」には何年がまんできるか 「やりたいこと至上主義」の傾向は、配属先の希望にも表れている。リクルートの就職みらい研究所の調査によると、「最初の配属先が希望と異なる場合、希望の仕事に就くまで転職せずに働き続けられる期間」という質問に対し、5年以内と回答した学生の合計が約5割に達した。
学生の指向の変化を受けて、採用企業もミスマッチを防ぐためのさまざまな取り組みを行っている。 飲料大手のキリンホールディングス(HD)は、2024年卒の新卒採用からコース別採用を拡充した。2023年卒では技術系コース(生産・技術開発コース・エンジニアリングコース・研究コース)、事務営業系コース、デジタルICT戦略コースという区分だったが、2024年卒では技術系、事務営業系のコースをより細分化した。
事務営業系であれば、営業、SCM(需給・物流)、経理、法務、人事から選択できる。2025年卒からは事務営業系にマーケティングコースが追加となる。 キリンHDの担当者は「『自身がどんな業務に就いて、どんな成長ができるのか』を重要視する就活生が増え、入社後にどんな部署に配属をされるのかに対しての不安感が強い。SNSの発達により、そうした不安・不満を共有しやすい環境もある。キリンとしても、グローバルでの競争が激しくなる中で、より専門的なスキルを身に付けた人材が必要と考えた」と背景を説明する。
経理など、直近は新入社員を受け入れていなかった部署もあったが、新たに新入社員の研修制度を構築するなど社内での変化も生まれつつあるという。 コース・職種別採用を始める企業は増加傾向にあり、牛丼チェーン「すき家」などを運営するゼンショーホールディングスも2025年春入社の新卒社員からコース別採用を導入する。 ■伊藤忠は間口を広げる 社員との接点を増やすことで、会社に対する理解やエンゲージメントを深める取り組みも進んでいる。