損保3社が政策株売却を加速、上期に計1兆2500億円-今期計画上積み
(ブルームバーグ): 大手損害保険会社3社の政策保有株式の売却が計画を上回るペースで進んでいる。
東京海上ホールディングス、MS&ADインシュアランスグループホールディングス、SOMPOホールディングスの3社が19日発表した2024年7-9月期(第2四半期)決算によると、同期で計1兆円の政策株を売却した。4-9月累計の合計額は1兆2547億円となり、期初計画の今期(25年3月期)売却見込み額1兆4750億円に対する進捗率は85%に達した。
企業向け共同保険料の事前調整問題を受け、損保3社は適正な競争をゆがめたとされる政策株を今後6ー7年かけ、すべて売却する方針を示した。初年度となる今上期実績では計画を上回るペースで売却が進み、順調な滑り出しとなった。3社とも今期の売却計画を引き上げ、合計では1兆8400億円と期初計画から3650億円増やした。
東京海上HDとMS&ADは傘下の損保会社が抱える政策株の中でも最大銘柄であるトヨタ自動車の株式の一部を売却した。トヨタが損保2社などが保有する同社株の一部を株式公開買い付け(TOB)で取得する形で売却した。
東京海上Hの岡田健司専務は「ああいう形でご了解いただけて売却が実現できたことは大変大きい」と振り返った。
今期の政策株売却目標を期初計画から2倍に引き上げたSOMPOの濵田昌宏グループCFO(最高財務責任者)は、政策株を保有する全企業に売却方針を説明した結果、「明確に反対されたところはほぼなかった」として「想定以上に発行体が前向きだった」と述べた。
政策株の売却益計上も寄与し、3社の中間純利益が過去最高となったほか、今期業績をそろって上方修正した。MS&ADとSOMPOは5月に続く自社株買いの実施も発表した。
一方、自動車保険を巡り部品代や工賃などのコストの増加で、国内の収益環境は厳しい。近年は自然災害も増加している。各社が利益を伸ばしているのは海外事業だ。政策株売却によって得た資金を、有効な成長投資に振り向けることができるかも今後の課題となる。