控えめに輝く「名医」と「逆さまの勇者」の星座を探してみましょう
逆さにされた勇者
へびつかい座の頭の星ラス・アルハゲの西隣にある三等星「ラス・アルゲティ」。意味は「ひざまずく者の頭」です。この星から目線を上げて細かな星を結ぶと「ヘルクレス座」があります。ちょうどヘルクレスのイニシャルである「H」のような星の並びが特徴です。勇者「ヘラクレス」という名をよく耳にすると思いますが、星座の名前は「ヘルクレス座」となり同一人物です。 ヘルクレスは、王妃アルクメネと浮気者の大神ゼウスとの間に生まれた子でした。そのことを知ったゼウスのお妃ヘラがヘルクレスに呪いをかけ、気を狂わせて人々の前で暴れさせました。しかし、ゼウスの血を引くヘルクレスは、力も強く、誰も手に負えません。ヘラクレスが正気を取り戻したとき、自分の罪の重さに嘆き、いとこのエウリステウス王に「どんな罰でも受けて、償います」と言いました。 エウリステウス王はヘルクレスのことをよく思っていなかったので、この機会にこらしめようと、ヘルクレスにとても危険な12の冒険を命じました。ヘルクレスは見事に全ての冒険をやりとげ、ギリシャの勇者として名を広めたのです。しかし、ヘラの呪いは続き、結局は命を落としてしまいました。ゼウスは自分の愛しい息子を星座にしましたが、ヘラは気にくわなかったのでしょう。逆さまに上げられ、明るい星のない星座となりました。 へびつかい座もヘルクレス座も名前は聞いたことあるのに、街中では目立たない星座たちです。しかし、彼らの存在はとても大きいので、目を凝らして見つけてみてください。 さて次回は、さそり座のお隣にあるお誕生日の星座をご紹介します。 (葛飾区郷土と天文の博物館・湯澤真実)