日本人選手が海外ツアーで必要なこと/星野陸也の欧→米ルート<後編>
星野陸也は2024年「カタールマスターズ」で、DPワールドツアー(欧州男子ツアー)で初勝利を挙げた。年間ポイントレース(レース・トゥ・ドバイ)で16位、有資格者を除く上位10人枠に入り来季のPGAツアー出場権を獲得。ツアー2年目での飛躍につながったものは何だったのか。インタビューで自己分析した。(聞き手・構成/桂川洋一、谷口愛純) 【画像】星野陸也が休養中に興じていた立体パズル
欧州ツアーでの成功のカギは
日本ツアーで通算6勝目を挙げた22年、星野は賞金ランキングで2位に入り欧州ツアーの出場資格を手にした。1年目の23年にポイントランク81位で翌年のフル出場権を獲得。そして2年目の今季、前年の久常涼に続いてポイントレース上位の資格でPGAツアーのメンバーシップをゲット。同じルートで米国進出を目論む選手は今後さらに増えるはずだ。 日本人選手が欧州で成功するために必要なことは何か。星野は「経験ですね」と即答した。「芝の種類やグリーンにバンカー、日本のコースとは違うことがいくつもある。一番悩んだのは風。日本では1Wショットで20ydくらい戻されるような向かい風が吹けば、グリーンで球が止まらず試合を中断する。でも欧州では30yd戻されて『ちょっと強いな』という程度。40yd近く吹いたスペインの試合ではテントが吹っ飛ばされていた。それでもやる。その分、(球が止まるように)グリーンは遅く、8、9フィートの時もある」。一般アマでも「遅い」と感じるグリーンスピードだ。 「だからグリーンはボコボコ。そんな爆風が吹く中で、ショットがピンそば1mのチャンスに付くことなんて、ほぼない。でも、そういうチャンスがたまに『来た!』と思っても、突風や荒れたグリーンのせいでその1mが外れる。理不尽に思えて、本当にストレスが溜まる。海外の選手がブチギレるのが理解できる(笑)。バンカーやブッシュを(クラブで)ぶっ叩きまくったり、叫んだりする選手がたくさん。それも『まあ、そうなるわな…』って思うんです」 「でも、やっていれば慣れる。難しいコンディションだと結局スイングもいくつかバリエーションがないとダメなんです。海外で経験をすると『これが必要だな』というものが見えてくる。だから練習方法も変わる」