【全文】BBC日本語版開設(下)「ニュースの信頼性の源泉は組織か個人か」
アルゴリズムをもっともっと進化させる(藤村)
津田:SmartNewsって最終的にはもうアルゴリズムというのを全部、機械の集合知的な判定でいくのか、集合知プラス、やっぱり人の目の判断でいくのか、これは目指すべき方向、どっちなのかなっていうのがあって。それはなぜかと言うと、僕もSmartNewsを毎日見ていて愛用しているんです。素晴らしいツールだなと思うんですが、たまにやっぱり「うん?」っていうニュースが紛れ込むんですよね。 例えば具体的に言えば、まとめサイトとかで、結構ひどいデマを流して反省しないまとめサイトとか、要するにそれも一時消して終わりみたいな、これ、倫理的にどうなの、みたいなものがやっぱりニュースとして交じってきたりもするところで、そこで例えば、そういうのである程度、取り上げるところのサイトの間口を絞ってしまうと、それはそれでネットユーザーの便益は少し落ちる部分もある。しかしそうは言っても正しくないニュースや扇動的なニュースが交じってしまうという、バランシングのところでもあると思うんですけど、例えば、だからこのニュースは1回やらかしていると。2回やらかして、3回やってスリーストライクでアウトで、じゃあここはもうクローリングしないようにしよう、みたいな、その辺りってどう考えていらっしゃるのかなと思って。 藤村:最後に言われた部分はかなりそれに近いことを判定しています。ただし問題は、われわれのフィルターやわれわれのスコアリングの仕組みをくぐり抜けてしまうようなものがあって、ある部分、嫌な言い方ですけども、そういうことを一生懸命研究しながらやってる人々もいたりするので、そこはGoogleのアルゴリズムと同じようなことが…… 津田:SmartNews対SEOみたいなってことですよね。 藤村:そうそう。なので、そこはあんまり具体的に説明するのはいやらしいので、やはりアルゴリズムをもっともっと進化させるということと、やらなければいけないのは、やっぱり価値のあるコンテンツとは何かっていう、先ほどの見識というところに関わるようなテーマを普遍的にみんなが持つということだと思うんですね。その思想や哲学や技術を注ぎ込んでいくプロセスで、それの1合目、2合目でしかないっていうところだと思っているので、高いところを目指すということにおいては、人間がやる行為と変わらないのかなと。 加藤:ありがとうございます。最後、人間がやることには変わらないという言葉をいただいて、人間として少し安心したのと、われわれ報道に関わる、皆さん、われわれも人間として、まだ少し、今しばらくは仕事がありそうだなという期待を込めて、これでいったん閉めさせていただきます。ありがとうございました。