【全文】BBC日本語版開設(下)「ニュースの信頼性の源泉は組織か個人か」
ニュース組織の在り方は“芸能事務所化”する(田端)
津田:だから、田端さんのおっしゃってることは僕もすごくよく分かる一方で、たぶんこのネット時代の、特にソーシャルメディア全盛になったこの時代の信頼のつくり方っていうのが、僕、2種類あるのかなと思ってるんですね。 というのはどういうことかと言うとやっぱり過剰に今、炎上をしますよね。別にもう、本当だったら、まともなことを言っているのにもすごい、ネトウヨの問題も含めてですけど、やっぱりネタによると思うんですよ。例えば井上さんはすごく優秀な記者だと思うし、僕も彼の記事を楽しみにしてるけれども、でもやっぱり、あれはやっぱり経済のネタで、それは炎上しようがないネタだからこそ成立するものであって、例えばあれが、僕は例えば安田浩一さんとか、すごく優れたシュアな仕事をしてると思うけれども、彼は日常的に炎上しているし。 つまり何が起きるのかっていうと、つまり炎上、でも書き手の側もやっぱり萎縮してるところがあるわけですね。炎上しない、要するにどうとでも取れるような中立冷静な書き手みたいなもので、それを炎上しないような方向でやっている書き手っていうのが信頼が高まっていくのか。そうでも、炎上とか多少しても、取りあえず自分の言いたいことは言っていくというのが信頼を勝ち得ていくのか。たぶんこの2種類の方向性が今、あるんですよ。 田端:ブランドを創るっていうと、たぶん得意技に特化すべきだと思っていて。ニュースってたぶん、ファクトファインディングからチェックして、すぐどっちかというとキュレートというかエディットして番組にパッケージするみたいな、それぞれのレイヤーがあると思うんですけども、例えば俺は、逆に炎上しない方向だったら、とにかくファクトファインディングに特化するとか、それぞれがそれを全部おしなべて、満遍なく均一に、BBCとかってある種のブランドで塗るんじゃなくて、その記者ごとに得意技というか、そこにどう特化するかっていうことが、キャッチフレーズっていうかなんか、これから。 で、1つの、もしかしたらニュース組織の在り方は、そうやっていって、芸能事務所化していく、あるいはプロスポーツチームのようになっていくっていうことかもしれないなと思います。 加藤:ジャニーズ事務所とかああいう感じですね。