全員揃わないと「遺産分割」はできない…“相続人が行方不明”の場合、相続手続きの進め方は?
不在者財産管理制度と失踪宣告どちらを選択すべき?
こちらでは行方不明となった相続人がいた場合、不在者財産管理制度と失踪宣告、いずれで対応するべきか等を解説します。 行方不明になってから日が浅い場合は不在者財産管理制度 音信不通や行方不明の相続人がいる場合、完全に行方がわからなくなってから何年も経っていないなら、生存している可能性が高いです。 この場合は家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任の申し立てを行い、選任された不在者財産管理人が当該相続人を代理して、遺産分割協議を進めた方が良いでしょう。 不在者財産管理人の権限は次の通りです。 ・不在者の財産を維持する保存行為:家屋の修繕、固定資産税の支払い、期限の到来した債務(借金)の弁済等 ・不在者の財産の管理行為:賃貸借契約の締結、使用貸借契約の解除等 ・不在者の財産の処分行為:遺産分割協議の同意、不動産の処分等 なお、不在者財産管理人が処分行為をする際、家庭裁判所に「権限外行為の許可」を申し立て、許可を得る必要があります。 行方不明になってから長期間が過ぎているなら失踪宣告 相続人が行方不明となり次のような事態であれば、失踪宣告を選びましょう。 ・7年間にわたり行方不明の状態が続いている→普通失踪 ・当人が戦争やクーデター、船舶の沈没、震災等に遭遇し行方不明となった→特別失踪 相続人が行方不明となってから1年程度しか経っていなくても、沈没事故や大規模な天災、戦争に巻き込まれた場合、死亡している可能性が高いです。この場合は特別失踪による失踪宣告の申し立てを検討しましょう。 海外に住む相続人が行方不明になった場合 不在者財産管理制度と失踪宣告、いずれかの方法で対応します。その前に外務省で「所在調査申込」を行いましょう。 海外に住む相続の最後の住所地ならば、所在調査申込を全て郵送手続きで行います。当該手続きは、在外公館で保有している資料により、当人の住所が判明するかどうかを書面上で確認する作業です。 当人が在外公館に住所・連絡先を届け出ているなら、この作業で連絡がつく場合もあります。ただし、届け出ていないと所在は判明しなかった旨の回答が郵送されます。
【関連記事】
- 好立地の狭小建築「お姉ちゃんに相続させる」「遺言書はある」…シングルマザー40代、母の言葉を信じた先の〈あんまりな結末〉に絶望
- 東京都港区の5坪の地面に、相続人が36名…40代専業主婦、地獄の相続手続きから〈イチ抜け〉する方法は?
- 年金月6万円、どんどん痩せていく80歳の母…年収450万円の49歳ひとり息子がとった「最後の手段」【FPの助言】
- 30代長男の死…嫁は「私たちを頼らないでください」と言い残し、孫を連れて海外移住。食堂で働き詰めの高齢母が、涙をこらえて遺した〈まさかの遺言書〉
- 貯蓄と退職金で「3,500万円のマイホーム」を買った60歳夫婦に、税務署から〈1通の封書〉が…後日「1,195万円の納税」を求められたワケ【税理士が警告】