【米国株ウォッチ】高金利に苦しむ米自動車市場、GMの今後の見通しは?
ゼネラルモーターズ(ティッカーシンボル:GM)の株価は、米国時間9月10日の取引で5%以上下落し、43ドルまで下落した(記事公開時、米国時間9月12日の終値は約46ドル)。GMは今年最も好調な大型自動車株のひとつであり、収益性の改善と好調なトラック販売が牽引して年初来で約25%上昇したが、自動車セクターの投資家の間には不安があるようだ。 GMを含む複数の自動車株は、ドイツ銀行から新たなレーティングを受けた。そのレーティングは強気なものとは言えず、GMのレーティングは「ホールド」だった。 ■経済環境が重荷 米国の自動車市場にはいくつかの懸念材料がある。コロナ禍の頃に始まった大きな成長サイクルが終わりを告げようとしているのだ。高金利と高騰する自動車価格により、米国人が車を購入するのにかかるコストは高騰している。 さらに、米国の雇用市場は冷え込みを見せており、8月の雇用者数は予想を下回った。景気減速の懸念は、個人消費と自動車市場にさらなる影響を与える可能性がある。自動車業界もまた、供給不足と空前のインフレの時期を経て、価格が正常化する可能性が高い。市場調査会社のJDパワーの予測によれば、米国における8月の新車平均取引価格は前年同月比で4.1%下落する見通しだという。 また、GMが発表した通期の業績ガイダンスによると、今年後半は減益の見通しとなっている。これは、生産日数の減少や新型車への移行に伴うコスト増による可能性もあるが、経済環境の冷え込みを裏づけるものでもある。 ■株価パフォーマンスと今後の見通し 過去3年間のGM株の上昇は一貫しているとは言い難く、年間リターンはS&P500よりもかなり振れ幅が大きい。2021年のリターンは41%、2022年はマイナス42%、2023年は8%だった。私たちはGMの目標株価を43ドルとしており、これは米国時間9月12日現在の株価よりも約6.5%低い水準だ。 短期的には、GMは好調なトラック販売から引き続き恩恵を受ける可能性があるだろう。さらに、直近のEV市場の減速は、GMのような伝統的な自動車メーカーにとって、ガソリン車から収益を得ながら、長期的な目線でEVに投資を行う時間的な猶予が与えられることを意味する。加えて、GMは昨年11月に全米自動車労働組合(UAW)と新たな労働協約を結んだが、第2四半期の業績が予想を上回り、通期の営業利益ガイダンスも上方修正されたことを踏まえると、この協定がGMの業績に与える負の影響も予想されていたよりも小さかった可能性が高い。 しかし、前述したように、より広範な世界経済や個人消費の低迷に対する懸念が株価に影響を与える可能性については注視が必要だ。
Trefis Team