傷ついてしまう前にー「SNSは受け取る側の教育も必要」眞鍋かをりがSNSと距離をとる理由
悪意あるコメントから自分を守るために
虐待やネグレクト、DVなどにより社会的養護を必要とする子供たちに対して、クラウドファンディングで支援を届けるプログラム「こどもギフト」。眞鍋さんは2018年から同プログラムのメンバーとして参加し、さまざまな子供に関するプロジェクトを進めている。 ――「こどもギフト」の活動をしていく中で、さまざまなことが見えてきたのではないでしょうか。 眞鍋かをり: ひと口に児童虐待と言っても、里親や子ども養護など、さまざまな分野・観点があります。だからこそ、どの分野にどこまで踏み込んでいいのか、という判断は簡単にはできません。ですから、その分野で活躍する専門家やプロの方々の活動を広めるお手伝いをする。それが一番私たちのできることであり、それしかできないということでもあると、活動を通して感じています。 政治家の方ともお話をさせていただくこともあるのですが、頑張っているのに世間にはなかなか伝わってないな、と温度差を感じることもありますね。彼らの活動を広めたいとも思う反面、政治的なアクションをすることには否定的な意見もあるので気をつけないといけないな、と。 ――ちなみに、政治家の方から「ウチから出馬してください」というオファーを受けることはありますか? 眞鍋かをり: 私はまだないですね。でも、自分は出馬するって言ってないのに「出馬する」という噂がたったことがあります。それを聞いた人からバッシングを受けてしまい、何だか、すごい方向から巻き込まれてしまったなと思いました。そういうこともあるので、なおさら気をつけないといけないですね。 ――活動を通して、さまざまな意見が寄せられることも多いと思います。 眞鍋かをり: 応援してくださる声も多いですが、批判をいただくこともあります。アクションを起こすことは大事ですが、自分の身を守ることも同じくらい大事です。私の活動が原因で、私の家族のほうに何らかの悪い影響があると嫌なので、そういう気配を察知したときは、できる範囲での応援に徹したり、一度、活動を立ち止まって休んだりするようにしています。燃え尽き症候群になってしまうほど熱心に社会活動をされている方々には頭が下がる思いですが、私はまず家族を一番に守りたいですね。 ――子どもと誹謗中傷が飛び交うネットとの関わり方に頭を悩まされている親御さんも多いと思いますが、眞鍋さんはネットとの向き合い方をお子さんにどうやって伝えていきたいですか。 眞鍋かをり: 私がブログをやっていた20代のころは、殺害予告をしても捕まらない時代でした。そのときと比べると、モラルやマナー、法律といったネットに関するリテラシーは高まってきていると思います。 今は私自身、SNSとは少し距離を置くようにしていて、当たり障りのない自作のイラストなどを上げるくらいしか利用していません。やはり、どんなささいな言葉でも、心にささくれができるじゃないですか。独身のときは、ちょっと落ち込んでも寝れば忘れてしまうので良かったのですが、今は大事な家族がいる。少しでも悪い影響を与えてしまうのは嫌なんです。 罵詈雑言とまでいかない悪意のあるネットの言葉は、規制してなくなるものではないと思うんです。それなら、情報の受け取り方の教育が必要だと思います。多くの人は悪意ある言葉にひとしきり傷ついて、一周してようやく「こういった言葉に耳を傾けるよりも大事なものがある」という考えに行き着く。そこまで考えられるようになるにはたくさん傷つくし、場合によっては再起不能になってしまう人もいます。 だからこそ、実際にネットに言葉を書いている人が、どういう心理状態で書いているのか。それは見るに値するものなのか。受け取る側が、傷ついてしまう前に、正しい塩梅で受け取って、自衛できるようにならなければいけない。それを子どもに伝えていきたいですね。 --- 眞鍋かをり 1980年愛媛生まれ。1999年にタレントとしてデビュー。2004年に自身のブログがトラックバック数日本記録を樹立したことで「ブログの女王」として知られるようになる。2015年に結婚・出産した後、2018年に児童虐待をなくすプロジェクト「こどもギフト」に参加。 文・冴島友貴 (この動画記事は、TBSラジオ「荻上チキ・Session」とYahoo! JAPANが共同で制作しました)