傷ついてしまう前にー「SNSは受け取る側の教育も必要」眞鍋かをりがSNSと距離をとる理由
まだSNSが当たり前ではなかった20年ほど前、「ブログの女王」として圧倒的な人気を誇り、現在も情報番組などで幅広く活躍を続ける眞鍋かをりさん。2015年に結婚・出産してからは、全力で駆け抜けたタレント時代とは生活が一変。「完璧なママになれない自分に自信を無くした」こともあったという。2018年からは子育てのかたわら社会的養護啓発プログラム「こどもギフト」のメンバーとしても活動。眞鍋さんが子どもを育てる中で気づいたことや、家族や自分自身を守るために大事にしていることを聞いた。(聞き手:荻上チキ/TBSラジオ/Yahoo!ニュース Voice)
“完璧なママ”という偶像に自信喪失
――眞鍋さんは、子育てをするようになってから何か変化はありましたか? 眞鍋かをり: 芸能界に入った18歳から、出産した35歳まで仕事中心の人生で、当時は目的とかゴールも分からないまま、とにかく仕事のために仕事をしていました。芸能界の修羅場をいくつもくぐり抜けてきたので母親になっても「うまくできる」という根拠のない自信があったんです。 でも、子育ては別次元。仕事とのギャップに驚きました。いざ子育てがスタートしたら思ったようには全然できなくて。仕事とはジャンルが違うというか、無能感がすごかったです。 例えば、髪をオシャレにセットして、ばっちりメイクを決めた出勤前のママが、子どもを抱っこしながら保育園に預ける。そんな完璧なママを取り上げている雑誌を見ていると、自分も同じように仕事も家事もオシャレも完璧にこなさなくちゃと考えて、現実のできていない自分を振り返って自信を無くしてしまいました。 でも、完璧なママって偶像、ファンタジーなんですよね。いろいろなママを見ているうちに、雑誌に取り上げられているようなスーパーママは、決してスタンダードではない、一人で200%の力を出すことはできない、良くて120%ということに気づくことができたんです。そう感じてからは手を抜こうって思うようになって、時間の使い方という点でも意識が変わりました。 それまで子どもと一緒にテレビを見ている時間は、自分の中でサボっている感覚。何かインプットしないといけないと焦ってしまっていたんです。それで半年間、育児の合間に勉強してワインエキスパートの資格を取ったのですが、その後、疲れがたまって身体を壊してしまいました。それが正気を取り戻すきっかけでしたね。 子どもが5歳くらいになって少し手がかからなくなってきたら、子どもに向いていた目が少しずつ自分に戻ってきたんです。そこで、子育て以外の時間を自分のために使うことができるようになりました。