友人が両親から「500万円」の援助で家を建てたそうです。「税金は払ってない」とのことですが、これって「脱税」ではありませんか? 非課税にならない金額ですよね?
住宅の購入は、人生において最も高額な買い物になることが多いため、親族から援助を受ける人も多いでしょう。しかし、一般的に援助(贈与)を年間110万円以上受けると贈与税がかかるため、多額の資金援助を黙って受け取るのは脱税になってしまうのではと不安になる人もいるかもしれません。 本記事では両親から住宅資金援助をしてもらった場合の注意点などを簡単に紹介していきます。 ▼子ども名義の口座に「月3万円」ずつ入金してるけど、将来口座を渡すときに「贈与税」はかかるの? 非課税にすることは可能?
直系尊属からの支援は500万円まで非課税枠が利用できる
結論からいえば、住宅購入のために両親から500万円を援助してもらい、税金を払っていなくても、正しく申請をしていれば脱税には当たりません。 直系尊属から住宅取得等の資金贈与を受けた場合、贈与税の非課税の特例を利用することができます。この特例は2023年12月31日をもって終了予定でしたが、令和6年度の税制改正大綱で3年間の延長が発表されました。 この特例を受けるためには、以下のような条件を満たす必要があります。 ・直系尊属からの援助であること ・贈与を受けた年の合計所得が2000万円以下であること ・贈与を受けた年の1月1日に18歳以上であること ・条件を満たした建物であること ※ほかにも細かな条件があります 対象となる建物等の要件は、新築または取得の場合と増改築で異なりますが、床面積や居住用の建物であることなどが挙げられます。また、建物を建築するための敷地であれば土地等の取得にも適用されます。 非課税限度額は省エネ等住宅で1000万円、それ以外の住宅では500万円です。したがって、両親から500万円の援助を受ける場合、この特例を利用すれば贈与税がかかることはありません。さらに、この特例は暦年課税を選択している場合、基礎控除(110万円)と併用可能ですので、610万円(省エネ等住宅では1110万円)まで非課税で資金援助が受けられます。
特例の利用には申請が必要
ただし、この特例を利用するためには、贈与税の申告書に加えて申告書第1表の2(図表1)やそれに伴う添付資料などをそろえて申請する必要があります。 図表1