韓国、男性中心の家守る夫婦別姓「女性は同じ家の人間と認められない」 米国も8割が同姓 ごまかしの選択的夫婦別姓議論
「嫁を『男の子を産み、農業を支える』存在とみなし、同じ家の人間とは認めない。そんな排他的な印象がある」 【アンケート結果】選択的夫婦別姓、小中学生の半数が反対 韓国・ソウル市内の女性会社員(50)は同国における夫婦別姓制度についてこう語った。いわば夫の一族と結婚相手の女性の間に明確な線を引く意味での「別姓」という印象を抱いている。 韓国は、姓氏制度が広く普及した19世紀末以降、日本統治時代末期の数年を除き現在まで夫婦別姓を維持してきた。その姓氏制度は、東アジアで最も「男性中心的」とされる家族制度に起因するものといえる。 例えば、韓国では長男優先の相続制度が形を変えつつ2005年まで続いた。一部地域では、法事に直接参加できるのは同じ姓を持つ父親や息子に限り、女性は料理などの準備作業にのみ従事させる慣習が今も残る。 子供の姓については、「父親の姓と本貫(本籍地)を引き継ぐ」と民法で規定。例えば、尹錫悦大統領と金建希夫人の間に子供が生まれていれば、自動的に「尹」の名字を引き継ぐ形となる。 例外的に母親の姓に変更するには、子供の出生時ではなく、両親の婚姻届提出の際に手続きを済ませなければならない。 ■実家を説得する余力 24年5月にソウル市内で結婚式をあげた陳叡貞さん(33)は、手続きをせず、将来生まれるであろう子供の姓は夫のものとなる。だが、半年以上たった現在もなお苦悩している。 陳さんは「無条件に父親の姓を子供に引き継がせることには違和感があった。夫も同じ考えだった」というが、「慌ただしい挙式準備の中で、双方の実家を説得する余力がなかった」。 夫婦の姓を巡る規定は世界で千差万別だ。ただ、日本の「夫婦別姓推進派」は各国の歴史的、文化的な背景には触れないまま、「海外では別姓が主流」「日本は遅れている」との主張も少なくない。 米国では1970年代にすべての州で結婚後の女性が旧姓を維持できるようになった。基本的には婚姻時に①夫の姓を選ぶ②妻の姓を選ぶ③別々の姓を維持する④両者の旧姓をハイフンでつなげ新しい姓を登録する-というパターンがある。 ただ、調査機関ピュー・リサーチ・センターが2023年9月に発表した報告書によると、米国で異性婚をした女性は79%が相手の姓を名乗っている。